時計は飾り。

 昔から時計にほとんど興味がない私だが、この3ヶ月ほどいろんな高級時計ブティックを見て回っている。社会科見学的に。

 何百万円から何千万円もする機械式時計を見る度に、エンジニア目線で言えば“素晴らしい”の一言だが、私の中で理系的感性は全体の一部でしかなく、総合的にはいまいちピンと来ない。クォーツで十分。

 過去ずっと宝飾ブランドの時計の方が好きで(15年くらい前にとあるスイスの宝飾時計ブランドで作ってもらったものを今でも時々している)、技術的に何がどうスゴいかよりも、まず第一に美しくあること、そして私のスタイルやキャラ、体型に合っていることの方が重要。

 私の細い腕に41mmサイズはデカ過ぎる。身長185cmのテニスプレーヤーとかそういう体型の人向け。

 ※これは身長150cm台の日本人女性に10cmを超えるヒールがバランスが良いかという問いと似ている。

 最近のトレンドは男性用・女性用が36mmに向かって寄ってきているらしいが、36mmでも私には若干大きく感じる。

 そこから先は体型と時計のサイズのバランスを通り越して、そもそも時計を見ない私という生き物(笑)にとって時計の文字盤が占める面積が大きすぎるという領域に突入する。

 いわゆるキャラとの相性。

 そして合理性。見もしないもんがデカい必要があるのか的な。だったら文字盤よりも宝飾部分が大きい方が良い。或いはいっそウケ狙いで、チャンピオンベルトのように壁掛け時計でも腰に巻いておいた方がオモシロイ(笑)。営業マンに「3分だけですよ」的な。

 一時期、私が「時計を見ているところを見たことがない」と非常にしばしば言われたことがあり、そのキャラが定着したのか、ディナー中やバータイムに私が時計を見ようものなら退屈なんじゃないかと心配されるに至り、ますます時計を見ないキャラになった。

 私が食事中に時計を見ることがあるとすれば、何かサプライズの時間を気にしていたり、食事が出てくるのが遅すぎ、バーの予約時間を変更すべきか考えている時であり、退屈だから時計を見るという当て付けみたいなことはしない。

 そこに41mmの巨大な文字盤の時計は存在が大きすぎる。

 ということから、私にとって時計は飾り(ブレスレット)としての美しさを追求するもの。

 グラスを左手で持つ私にとって、左手に付ける腕時計はシャンパンに合うことが要求される。実際には誰からも要求されてないんだが(笑)、私が考える絵面としてイチバン重要なポイント。

 ロゼならローズゴールドも良いが、プラチナ(またはホワイトゴールド)とゴールドのコンビが美しい。そしてブリリアントなカットのダイヤモンズ(複数形(笑))は、シャンパンの泡をよりいっそう輝かせてくれる。

 カリフォルニアのシャルドネやコニャックにはシャネルのベージュゴールドも相性が良さそうだなと思う今日この頃。

 同じく葉巻も左手で持つので、カリブ海に沈む夕陽のような色の文字盤もいい。バーキンにもその昔「ハバナ」という色があったようだし、高級車の内装カラーラインナップにもハバナという名称をよく見かける。茶色だが。

 昼間はマリンブルーが波打ち、夕刻にはカリビアンサンセットオレンジが輝き、夜にはタンザナイトのようにしっとりと美しい夜空を表現してくれる文字盤が登場したら是非欲しい。ダイヤモンズの流星群付きで。