春。
その昔、いい歳した(笑)嘉門タツオが「ボンレスハームですねぇ♪ ちょいとつまんでみませんか♪」と唄っているのをテレビで見た。
もしかすると同じタイプの人なのかと思いつつ(笑)、気付かなかったフリをしたのを覚えている。
そうじゃないんだと自分に言い聞かせた若き日の私に言いたい。
もっとおかしな奴は山ほどいる(笑)。
今じゃ開き直って居直って何も感じやしない(笑)。
四捨五入しても割と昔に三十路は通り過ぎ、四十路が近いだろうかというグラマラスな美容部員のパーリーなロゼカラーのアイシャドウを褒めたところ、心なしか赤らんだマスク越しの頬に春の訪れを感じつつ、その帰りふと立ち止まってレンズを傾けた。
ボンレスハムですね♪
哀愁を帯びた背中の行き場を失い波打つ脂肪の塊のことではなく。
そんな本日のBGMは春一番♪ by キャンディーズ
マスクをはずす準備か、化粧品売場に若い女性が多い。
麻生太郎副総裁の「マスクを外して美しい顔を出して、忘れていた化粧もして」に呼応しただろうか。それとも化粧を忘れていたのは副総裁の奥さんだけだろうか。
桜の季節にはロゼシャンパンが合う。そこにラデュレのSAKURAのマカロンが出逢えばたちまち恋の協奏曲が流れ出す。
的な。
写真を撮りつつダミ声の方向に顔を上げると、カラスがムキになって木の枝を引きちぎっていた。花々と戯れる女性らは怖がってその場を離れた。無数の枝が落ちていたので、巣作りを始めて久しい様子。
自然界のマナーなのか、その黒塗りは花が咲いていないハゲ散らかした木を選んでいるようにも見え、私は立ち止まって数分観察していた。
脇目も振らずひたすらに枝を集める勤勉な姿を見ると、意外に悪い男でもないのかなという気がした。
そのまま普段歩かない道へと進むとマグノリアが咲いていた。
手が届かないところに咲いていたので無理して写真は撮らなかった。
持続可能な社会とは、根底に自然への愛があり、それは壮大で時として華麗でもある。
今の時代にピッタリじゃないか。
私は決して自然に親しむ生活を送っていないが、自然発生的なアルゴリズムを好む。
我々の住む地球も、ビッグバンで飛び散った塊が高速回転しながら丸みを帯びつつ、偶然引力が釣り合ったところでかろうじて静止し今もなお奇跡的に存在する惑星の1つでしかなく、軌道を少しでも外れようものなら公転の遠心力によって再びはるか遠くへ吹き飛ばされてしまうだろうもの。その時は当然に高熱が生じ、皆死ぬ。
美しくも儚い。
自然とは人為的に調整されたものと比べると割と粗野なものでもある。
オーガニックで無調整のものは大自然そのものであり身体に良いと信じ切っている人達が一定数いるが、未知の成分が多分に含まれており、原因不明のアレルギー反応が生じやすい。
知らない人をむやみに家に入れないことが防犯対策なのだとすれば、未知の成分をフィルタリングする大量生産品は思いの外身体に優しかったりする。よく知ってるもののみ残すホワイトリスト形式。
何が良いのかわからない時代。
大脳辺縁系(本能)を働かせる時が来た。
五感の中でそれに唯一直結している嗅覚は動物にとってとても重要な知覚器官であり、誰もが手探りでゴールを目指す中、再び精油と戯れてみるのもいとをかしかと思う今日この頃。
私が春の訪れを祝うのは、ただ単にロゼシャンパンが飲みたいだけなんだが(笑)、今年の春はひと味もふた味も違う。
脂がのりすぎて引火しないよう気をつけつつ、このまま方角を変えず前進。
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