誰もが知ってる通り、スタッフに「○○色のバーキンNNcmが欲しい」と伝え、偶然ソレを入荷したとしても、当該スタッフは「今、バーキンNNcmの○○色が入りました」と客に連絡することはできない。
例外について私は知らないが、規定でそうなってるっぽい。一般顧客の話。
だからスタッフは「タイミング」「出会い」と言うしかない。
※ココでは普及度を考慮し便宜的に「タイミング」「出会い」という言葉を使うが、私は実際にこの言葉をスタッフから聞いたのは買い物を始める前の視察期の1回だけで、もしかすると「タイミング」「出会い」と言われている間は売る気なしなのかもしれないと一応指摘しておきたい。
が、どうしても融通したい(バッグと出会わせたい)客がいた場合、私がスタッフなら規定を守りつつどういった方法で絶妙な“タイミング”を提供するかを考えてみた。
次いつ来るかもワカラナイ客のために何日も取り置きはできない(同僚を説得できない)。が、今入荷したかつ当該客の希望に合うスペックだと確認した(教えたくてタマラナイ)という状況の場合、意味もなく客に「お元気ですかー?」とか、はたまた間違い電話(笑)とかかけるわけにもいかない。
そこで、予約・取り寄せ品の入荷連絡を溜めて(貯めて)おくという方法もアリかと思う。
予約・取り寄せ品を入荷してもすぐに電話せず、当該客のお目当ての品が入った時に予約・取り寄せ品の入荷連絡をする。
客は予約・取り寄せ品が昨日入ったのか今日入ったのかなんてワカラナイので、余程「クリスマスプレゼントに」とか期日が指定されている品でない限り、“お目当ての品”と出会わせることが目的なら、入荷連絡が数日遅くなったところで、客にとっちゃメリットの方が大きい。
そもそもほとんどの客が、お目当ての品を買うために他の物を買ってるだろうから(笑)。エルメスも承知の上だろう。
で、「先日ご予約(取り寄せ注文)いただいた○○が入りました」と電話し、「本日ご都合いかがですか?」と誘う。もちろん「今現在あなたのご希望のバッグがありますよ」とは言えないし、客に対し「本日」と指定もし辛いところだが、そこはコミュニケーション能力次第。
もし「今から行きます」となれば、店内でも「このバッグ希望のAさんが来店するからちょっとだけキープ」程度なら調整できるんじゃないか。それが「当日中」なのか「数日以内なら」なのかはワカラナイ。
その点において、近くに住んでいるまたは働いていて、連絡すれば割とすぐ来るという客は人為的に出会わせやすい。
『エルメス時間の“密度”の変化』でも書いたが、恐らく以前はこの“キープ”期間がある程度長かったのかなと思う。対象客の来店スパンから次の推定来店日くらいまでは取っておくとか。
それがバッグ数に対し販売対象客数が激増したため(特に東京は)、客の次の来店を待ってられず、既に店内に居る顧客に順番に見せていくことで、事実上「タイミング」「出会い」という状態になっていると推察する。
「販売対象客数」とはバーキンやケリーを希望する客の数ではなく、店またはエルメスジャポンとしての販売基準を満たした客の意味。1,000万円使ってもバッグ1つ出てこない人がいることを考えると、基準は購入額ではないんだろう。
ということから、スタッフが「良いタイミングを提供しよう」「お目当てのバッグと出会わせよう」と努力するようになった時点で、冒頭に書いた通り「タイミング」「出会い」という言葉を使わなくなるのかもしれない。自然に。もはや運任せではなくなっているから。
客側もそれらを察して息が合ってくれば、例えば日をまたいだ取り置きができない場合は遅い時間の電話ならネタなし、早い時間の電話ならネタありとか、暗黙のコミュニケーションが成立するようになる。
ちなみに私の見送りバーキンは突然行った時、同じく見送りケリーは予約ではないがいつ行くと事前に予定を伝えていた時、そしてファーストバーキン購入は突然行った時だったので、得にこれといった傾向があるわけじゃない。
バッグの入荷予定についてスタッフは本当に何も知らない様子(*1)なので、当日バッグの存在を確認してから規定内で動ける範囲のことしかできないとすれば、この程度の調整なのかなと思う。
(*1)そうしないと事前に転売屋に情報を流すスタッフが出てくるので、本社の対応・対策としては自然な流れ。
日頃から何が欲しいとはっきり伝えておかないと、こうした融通(調整)の対象にならないだろうことは言うまでもなく。オーラがショボい人(失礼)は、そもそも150万円もするバッグを出してもその場で支払えるのかどうかがワカラナイから、必然的に優先度が下がる。だから支払い能力は日頃からしっかり示しておいた方が良い。
私が書いていることは全て前提として昨年10月以降かつ東京23区での話。
東京とそれ以外では対象客数がまるで異なり、必然的にバッグの滞在時間(回転)も違う。すなわち時間の単位(顧客をどのくらい待てるかとか)が変わってくる。地方ほど地元のお金持ちや権力者との付き合いを切り辛いため、代々付き合いがありそこら辺のパイプが太いデパート外商員が多少なりと力を持っている可能性もあり、エリアによってはまだ従来の販売スタイルが見られるかもしれない。
※これは04月に書いたものだが、ネタがないため(笑)今更アップしてみた。忘れていただけなんだが(笑)。
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