バーキン、ケリー購入時に身分証の提示が必要になるらしい。数日前、ブティックで買い物したら支払い時に説明があった。
購入個数の厳格な管理のためというのが主な理由のようだが、スタッフがとても申し訳なさそうに話すので、いつも身分証は持ち歩いているので全く問題ないと伝えつつ、シャネルは既にそうだし、エルメスももっと早くそうすれば良かったのにと思いつつ。
世間の目には「エルメスは転売対策なんてする気がない」と映っているようだが、私は何となく流れが変わり始めたと思われる昨秋(私が参戦した時期)から、エルメスは転売対策に非常に力を入れていると感じている。
多分、多くの人は自分に枠バッグが回ってくるまでエルメスのやる気を信じない。
で、引き換え(?)に、購入確約前提で一週間の取り置きが可能になったそう。
身分証の話の流れだったのであまり深く考えなかったが、「身分証持ってくるの忘れた」と「カード切れないし現金も持ってない」のどちらの理由でも取り置きできるのだろうかと、家に帰ってからふと思った。
いずれにせほとんどの人が取り置き可能な方の理由を選んで挙げ、準備を整え購入するだろうことから、以前書いた「ニアミス」は、これでほぼ消滅する。
メゾン4階のように、オープンスペースでバーキンまたはケリーを出し、1番手がよっぽど気に入らずその場で「要らない」と拒否した時くらいしか2番手の存在意義がなく、即購入を除くとあとは全部「取り置き」となり、その場はいったん解散し、2番手だった客は、後日1番手が購入に至ったのか否か知る由もない(一応取り置きは「確約前提で」だから売約済みという扱いになる)。仮に1番手が買わなかった場合、2番手に連絡するということは多分ナイだろう。
すなわち例えスーパーフリーであってもエルメス側が「この人に買って欲しい」という思いで枠バッグを出し、それ以外の人に“おこぼれ”が極めて生じにくい仕組みになるので、1番手と2番手の存在は決してニアミスではない。
この流れは、身分証提示義務付けからの偶然の産物なのか、はたまたエルメスの狙いなのかはワカラナイ。
身分証のコピーはとらないらしい。受け取った店舗側での個人情報管理が大変なので、目視確認のみということか。
で、身分証の提示義務付けで何が防止できるのか、そもそもどんな人達が困るのかを考えてみた。
A:1人で複数ブティックで実績を積み上げ、各ブティックで異なる名前、住所、電話番号を登録しているという場合。すなわち1人n役。スタッフの異動もあるので、なかなか覚えてもらえない影の薄い人ならできるかも。最大で1年間にブティックの数×2個枠バッグを買えることになる。
B:実績を積み上げ信用のある男性(以下必要に応じて男女を読み替えていただきたい)が、各ブティックごとに異なる妻役の女性を連れて行き、「私はもう枠を消化したのでこれは妻の名前で」と購入する。最大で1年間に本人の2個+ブティックの数×2個枠バッグを買えることになる。大型店舗なら、複数の妻(役)でもしばらく気付かれないかもしれない。基本顧客フリー狙い。
※妻役は1人でブティック毎に名前を使い分けるのでもイイんだが。要は旦那アカウントに紐付けられなければ良い。
言うまでもなく最大化されるのはAとBの掛け合わせ。
AとBはどういう人物像かというと、新品転売ショップを営む経営陣とか。
これも以前書いたが、他人から買い取った品は例え未開封のまま持ち込まれても古物商取引になるので、「新品」(未使用品ではなく)として販売できるのは、業者の経営陣または従業員が直接購入したもののみ。厳密には。これが相当な数ある。
バーキンとケリーの購入者を名前でソートした場合、同じ名前がズラっと列ぶと“システム”に気付かれてしまうので、AもBもブティックの数だけ名前が必要。かつ偽名の数だけクレジットカードを用意するのは困難どころか犯罪なので、AもBも現金払い一択。
特にBの場合、妻役の女性が150-170万円をいつでもサクッと決済できるカードを持っていれば良いが(この場合妻役は本名×ブティックの数で、男性の偽名を妻役側の苗字に設定すれば良い)、そんなハイスペック女性が妻役を買って出てくれるとは思えず、集めるのが一苦労。というわけで現金払い。
という具合に結局現金払い。
足が付いちゃ困る人ほど現金払い。
下手すると何年がかりという手間暇かかるが、業者はそれで食べてるのでなんてことないだろう。
よっぽどシャレ者なら別として、男性が単身でバーキンやケリーを毎年2個買い続けるだけでも怪しく思う人はいるだろうし、一方で女性単身だと日本では何でそんなお金持ってるの(≒パパ活疑惑)と思われる可能性が高いため、この夫婦コンビが恐らくイチバンうまくいくと思われる。
※これまで何度かレコグナイザーの存在を感じていると書いたが、こうやって店舗を横断して枠バッグを不正入手している客の見極めだったのかもしれない。
昭和のおっさんらは単純に現金でドカンと買う方がスゴいと思っている人が一定数いるが、クレジットカード払いの方が間違いなく社会的信用度が高い。欧米社会で昔から当たり前で、キャッシュレスの流れはその延長線上にある。
まず記録が残ること、名義の一致を確認できることと(カードの名前で銀行口座があることなど信用が連鎖する)、クレジットカード会社が当該顧客に与えた限度額で大方所属する会社や組織の信頼性及び客観的な収入が確認・推定できる。
10年ちょっと前までは、何年も使っていれば限度額最大値まで簡単に上がっていたもんだが、この10年は与信枠の管理が厳しく、収入や住まい(住所)、居住年数、持ち家か賃貸か、他のローンの有無、所有する他のカードの限度額など多岐に渡って審査対象となっている(カード会社はCICなどを参照する)。
※昔も表向きそうだったんだがザルだった。
じゃ、いっそ身分証明書+本人名義のクレジットカード決済のみにしたら良いという人は、本来エルメスの想定する顧客層に近しい人だと思うが、日本はフツーの人がバーキンを持つ特殊な国なので、そこを根こそぎ足切りしようという気はなかったんだろう、エルメスジャポンは。
将来的にはそうなるかもしれないので、単身女性はクレジットヒストリーを磨いておいた方が良い。という想定で以前「今後はプラチナカードやブラックカード系の情報に対する需要は女性側に移っていく」と予想してみた。
というわけで、今後エルメス側の転売対策が進めば進むほど、そもそも買えなくなる人達も出てくる可能性があり、不正対策は正義であったとしても、正義が自分の味方になるとは限らないと指摘しておきたい。
と書き終わってふと思ったんだが、特に不正というわけではないにしても身分証の提示を嫌がる人がいるとすれば、住所を盛ってる人とかだろうか(笑)。都心5区のタワーマンション上層階に住む友達の家の住所で登録していて、実際の身分証(住民票)の住所は「コーポ山田」的な。
※本当にコーポ山田に住んでる人が見た時のために先に謝っておく🙇♂️
が、そのくらい住所は大切な要素で、住まいがわかれば大凡の所得が推定できるので、クレジットカードの色よりも私は強いと思っている。
引き続き観察・分析していきたい。
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