エルメスで閉店間際は大物は出ないと言われているが。

 エルメスで「閉店間際は大物(枠ありバッグ)は出ない」という説を時々見聞きしてきたが、実際は出る。

 「何でアンタはいつも正反対のことばかり起きるんだ」と思われるかもしれない(笑)。それにはワケがある。

 今年前半に見送ったケリーは閉店まで30分を切っていた。その時は他の品を買った後に見せてもらったので、レシートで時刻を確認できる。

 実際に購入したケリーは閉店4分前に出た(前述の見送りとは異なる店舗)。入店時には「ない」と言われて、帰る際わざわざ呼び止められて出てきたので、仕方なしにではなく、必要あらば積極的に出すということ。しかも一度も買い物したことのない店舗で。

 ロレックスも閉店まで1時間を切ると出ないという説がある。説明を含めると30-40分近くかかることから、これはデタラメというわけでもなさそう。

 一方エルメスの大物(枠ありバッグ、すなわちバーキンまたはケリー)は、最初の1個目ではお手入れについての多少の説明があるが、それでも10分あれば十分なので、ロレックスとは事情が異なる。

 結局のところ、エルメス側としてはバーキンもケリーもいつでも出せても、問題は150-170万円ほどの金額をサクッと決済できる(できそうな)客かどうかで決まるんじゃないかというのが私の見立て。

 カードが切れず限度額(残)を補うために「ATM行ってきます」の場合、1口座あたり50万円くらいまでしか引き出せないことがほとんどなので、2-3銀行回るとなるとしばらく帰ってこない。こういう客には閉店間際には出せない。誰だって残業したくないから。販売員の成績になるんだったら話は別だろうが、その間店を閉められず他のスタッフに嫌がられそうなので、出さない方が無難。

 その結果、圧倒的に多い「出ない」人達の情報が優位となり、「閉店間際は大物は出ない」が定説と化する。

 すなわち、情報とは平均側(多い方)に収束するように出てきていて、どれも似たり寄ったり化してしまうのが世の常。

 言うまでもなくエルパト業界で「平均」と言えば、一度もバーキンもケリーも出てこないまま退場する人達。そっちが普通。バッグはなくて当然という世界。

 そこで私みたいなのが参戦すると、いつも定説と正反対のことが起きているように見える。

 ということだろう。

 私に対する世間の反応は「突拍子もナイことを言い出した」が第一印象なんじゃないかと自覚しているが(笑)、これはエルメスに限らず全般に言えることで、全体の1-2%が半分以上の税金を納めているように、高級市場とは数が多い98%側を対象につくられてない。

 が、世の中とはその98%側に起きたことをベースに、思い込みや勘違い、被害妄想、分析力・観察力不足などが相まって“噂”と化し、それを信じて行動する人達による連鎖社会に生きている。

 だから私が風変わり(笑)に見えるんだと思うが、エルメスから見たら恐らく私はごく当たり前の客層であり、普通(自然)に買い物していれば(すなわち所得相応であれば)、特に難しいことはない。

 難しいと感じた時点で、ドアがないところから入ろうとしているんじゃないかというのが私の率直な印象。それは当然大変で特殊な能力を必要とする。