エルメスにおける実績とは。

 エルパト業界で言う「実績」とは、一般的にある特定の期間内(世間では暦通りの1年、私の見解は直近365日またはスタッフ端末で確認できる2年)の累計購入額のことを指す場合がほとんどだと思うが、私の見立ては累計購入額より優先される何かがある。

 もちろんエルメス側もビジネスなので、金額も重要な要素の1つだろうことは否定しない。

 が、仮に金額が最重要事項なのだとすれば、私のように170万円の段階でバーキンが出るケースもあれば、年間1,000万円使ってもバーキンのバの字も出ない人もいることの説明がつかないため、他の優先事項が存在するということ。

 ※私の場合買い物を始めて3ヶ月目に最初のバーキンが出たので、経過時間(エルメス歴)は除外していいだろう。

 「購入実績が重要」を金融業界で言う「クレジットヒストリーが重要」という言葉に置き換え考えてみよう。

 クレジットヒストリーとは金融業者(主にクレジットカード会社、銀行、貸金業)が参照するデータベースであり(CICやJICC、全銀協など)、ちゃんと払えている限り「いくら使ったか」はあまり重要ではない。与信枠(限度額)の管理のために他者のクレジットカードやローンも含め全体でいくら使っているか(住宅ローンや携帯電話の分割払いも含めた債務残高)を参照することはあるが、最も重要視されるのは遅延、滞納、そしていわゆる「金融ブラック」ではないか(事故歴がないか)。

 ※CIC、JICCなどは自分の記録の情報開示請求ができるので、クレジットカードの審査に落ちた、ローンが通らなかったという人は確認してみた方が良い。

 この観点から、エルメスではどうだろうか。

 買った物を使っているか。すなわち転売してないかを重視している場合、「実績」とは購入額よりも購入した後の行動・振る舞いが重要かもしれない。

 要は「信頼に値する客」であるかという意味合いの実績。

 国語的には「取引実績」と言う方がしっくりくるか。

 「あの会社はこの業界において実績がある」とか「彼女の実績は数々の受賞歴が裏付けている」という文脈で用いられる実績。

 履歴書や面接で実績を問われた際、売上とか収入とかの話では弱く、何によってそれがもたらされたのかという内容を指す実績。

 購入後「使っているか」は転売屋の見極めでも有効だが、その人の所得ひいては生活水準を推定する材料にもなりうる。

 売らなきゃ(次が)買えないカツカツな人が150万円以上もするバッグを持ってどこに行くのか(用途は?)と考えると、必要ないし出番がないよね(その結果すぐに売るかも)ということになり、もっと使えそうなバッグを提案するだろう。普通は。

 すなわち間接的に分相応・不相応の判定に関わる。

 分相応・不相応なんて言うと今の時代「エルメスが決めることじゃない」「客の勝手」だと思う人も多いかもしれない。

 では自分がエルメスの販売員だった場合、現金を持った女子高生客から「バーキン欲しい」と言われ、仮にフリー在庫があったとして売ろうと思うだろうか。私なら売らない。ただでさえ弾切れなんだから相手を厳選して出す。

 ということから、「相応しい客」という絶対的な基準はなくとも、「社会通念上」という一般的な見解を用いることは多くの場合合理的な妥当性を兼ね備えている。

 冒頭で「経過時間は除外」と書いたが、例えば15日締め、翌月10日引き落としのクレジットカードにおいて、仮に08月12日に限度額いっぱいの買い物をして、09月17日に再び高額の買い物をし同カードにて決済が通れば、09月10日の引き落としは無事に完了したと推定できる。

 買い物中毒で使いっぱなしカード破産系も一定数いるだろうこと(あるカード会社では「一時的な限度額の対象外」としている)から、カード会社からエルメスに対する「注意深く販売していただきたい」的な要請(*1)もあるだろう。

 (*1)エルメス客の未払い・滞納、事故率が増えると、引き落とし日まで立て替える側のカード会社からすればエルメス客は高リスクと見なされ信用コスト・保険料が上がり、その結果エルメス側の加盟店手数料に跳ね返るため、金額が大きいだけにお互いに慎重になる構造下にある

 よってクレジットカードの継続利用もある程度「信用」になり得るため、3回くらいの引き落としが完了するまで(約4ヶ月)は様子見ということもあるかもしれない。

 という点から、経過時間が全く考慮されないかというと間接的に絡んでいる可能性もある。

 以上のように、絶対基準はなくとも、人によって(印象や行動・振る舞いによって)特定分野の観察期間が長くなる場合もあるかもしれない。すなわち「取引実績」の積み上げ方は、人によって努力すべき点が異なると見ておいた方が良いと私は思う。

 もし世間で言われているような基準額の買い物をしてもバッグがなかなか出ないという人は、購入額だけに目を向けない方がイイんじゃないかと私は言いたい。

 もちろん無条件に出るっぽいスーパーフリーはその限りではなく、飽くまで世の中的に担当者がいないと出ないと信じられているバッグ(「担当バッグ」とでも名付けようか)の話。

 ※私は常に枠ありバッグ(バーキン、ケリー)を前提に書いているので、それ以外のピコタンなどがどういう基準で出されるのかは現時点で観察・分析対象にない。