最も増収率が高かったのは革製品およびサドルメティエ部門で、前年比20%増を示した。
プレタポルテおよびアクセサリー部門も、同16%の増収。
「ルージュ エルメス(Rouge Hermès)やネイルエナメルの新作などを発売したが、4%の増収にとどまった。
ということから、エルメスの客は枠バッグにつながらない物は買わない傾向が強いことが見てとれる(笑)。
初期にも書いたが、その他の商品も魅力的だから全部門共に売れてるのか、枠バッグのために仕方なしに買っているのか、中にいるとワカラナイというのがエルメスの課題かなと思う。
これはエルメスに限らず、バーキンやケリーのような“スター”を抱えている組織全てにあてはまり、「今ドジャースからオオタニが抜けたらどうなるか」という話に例えられる。
現在の物価水準で考えると、日本なら、年収8,000万円(税引後手取り約4,000万円)を越えたら、枠バッグのためにファッション系の買い物を可能な限りエルメスに寄せるということをしなくて済み、自分の好みに任せて買い物ができるラインだろう。
※預貯金を切り崩してという一時的なものでなく、エルメスで枠バッグを除いて年間1,000万円以上買い物し続けるという前提で。かつ住まいなども持ち物に見合った生活をする前提で。加えて買い物を事業経費にしない前提で。
だとすると、日本の所得分布から見て、エルメスの顧客の大半が頑張って寄せなきゃ顧客として安定的な地位を維持できない層だと思われ、「選べるなら服や靴はシャネルを買うが、悠長なことも言ってられないのでエルメスに全部寄せる」という人達が多いと推察できる。
※もちろん買って売ってを繰り返す自転車操業的な人達はどこかでのタイミングで切り捨てられるのでココでは予め対象外とする。
よって必ずしも唯一の選択肢とは限らない。
見方を変えると、バーキンとケリーの市場価値次第でエルメスのその他の部門の売上が決まるということでもあり、品質に拘る手堅い職人的企業という印象がありつつも、ビジネスモデル自体は危うくもある。
エルメスとシャネルの2正面で安定した顧客ステータスを獲得・維持するなら年収1億円(手取り約5,000万円)からかなと思う。
それでも都心5区に住宅ローンを抱えている人達は、何かしら我慢を強いられる可能性があり、毎日シャンパン三昧とはいかない。
ということから「最も高い成長率を記録した日本では、同25%の増収」から読み取れるのは、日本人は無理しすぎ(背伸びしすぎ)な印象が強い。
個人的には分相応な無理のない生活をすすめたいところだが、エルメスもまた食物連鎖の頂点に立っているのだと考えたら、これこそが社会そのものだと言え、その欲求(物欲だったり承認欲求だったり)は他者がどうこうできるものではないので、行く付くところまで行くんだろうなというのが率直な感想。
私は本当に使うものしか買わない。消耗品という位置づけ。
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