「何でもかんでも欧米は正しいのか」という思考。

 白人コンプレックスで、何かしら欧米欧米と持ち出す人が一定数いる。

 その反動(反発)で、「欧米が正しいとは限らない」と言い出す人がいる。

 もう少し教科書通り物事を捉えられないのかなと思う。

 日本がアフガニスタンと比べて社会保障費を語ってもしょうがないし、アルゼンチンと比べて軍事力の在るべき姿を議論してもしょうがない。ジンバブエと比べて日本円相場を見通すわけにもいかない。

 「G7」(先進七カ国)と言う時、構成国は日本以外は全て欧米。「NATO」も「北大西洋条約機構」の名の通り構成国は全て欧米。

 欧(ヨーロッパ)+米(カナダを入れた北米)を中心に世界はできている。特に先進国社会は。

 経済や物価水準、通貨相場、人件費、社会保障費、軍事力など、何を模索するにしても似たような水準の国と比べないと意味をなさないので、世界有数の先進国である日本の比較対象は必然的に欧米になる。

 最も所得の高い東京が、最も低い沖縄と比べて家賃や時給を決定するわけにはいかないのと同じ。

 東京はニューヨークやロンドン、パリ、ベルリンなどと比較し相対的な水準(すなわち偏差値)を測定するのが当然であり、ベネズエラのカラカスとは比べない。

 日本が欧米と比較して検証することは、偏差値的(統計学)に当たり前の考え方であり、「欧米が正しい」という前提で比べることに意味があるわけではない。

 東大出の生涯年収を中卒と比べないのと同じ。仮に中卒が上回った場合、それは統計学上の外れ値であり、その極めて希な例をもってして教科書に取り入れるわけにはいかない。

 これは、大ヒットしてスーパースターになった逸材と、ほとんどの場合食べるに苦労する芸人とを比べてもしょうがないのと同じだし、ショッピングモールの中で数億円を売り上げる大成功例と、平均で300万円のその他大勢を比べてマーケティング手法や物流の在り方を検証しても意味がないのと同じ。

 自分と同じ目の高さで比較する必要がある。