ソレに加えて、三越・伊勢丹が内包するエムアイカードと本業である百貨店事業とのバランスが悪い気がする。
率直に言って、エムアイカードはおもちゃみたいなクレジットカードで、いっそアウトソースするかデビットカード化した方が良い。
高島屋は「高島屋ファイナンシャル・パートナーズ」という表向きクレジットカード会社を持っているがバックヤードはセゾンだし、タカシマヤプラチナデビットはソニー銀行との協業で、最大10%ポイント付与のうち2%(*1)をソニー銀行に持たせている分高島屋の負担が少ない上に、エルメス、シャネル、ロレックスなど百貨店側がポイントを付与できないハイブランドでもソニー銀行が2%付けることで、デパートブティック離れ(本店、路面店への流出)にも対応している。
エムアイカードの問題は、本業の百貨店でたくさん買い物をしてもらうために大きな限度額を与えると貸倒リスクを伴い、連結決算をできるだけ綺麗に見せるためには、緊急事態宣言やまん延防止によって上げようにも上げられない百貨店の売上げよりも、金融・不動産事業を手堅く底上げする必要があるため必然的におりこうさん経営になり、コロナ禍で支払い能力の低下を不安視し与信が渋くなりことで、顧客の購買意欲に水を差すという悪循環にある。
去年夏まで三越・伊勢丹内に設置されていたエムアイカードATM入金を利用している人を非常にしばしば見かけたがこのサービスを終了し撤去してしまったので、与信枠が低い人はちょっと買い物する度にイチイチ振込入金し利用枠を拡げる必要がある。が、土日は反映されないので多くの消費者にとってイチバン重要な時に間に合わない。だったらいっそ口座に入っているだけ好きに使えるデビットカードの方が便利。貸倒リスクもない。
或いはタカシマヤカードのようにクレジットカード事業をアウトソースし、財務不安要素を外部転嫁するか。内包した方が自由度が高まりできることが増えるが、その分リスクを伴う。これはサーバーのオンプレミスかクラウドかの選択に似ている。
その点高島屋のクレジットとデビットカード事業は非常にバランスが良い。リスクアセスメントだけで足踏みせずに、きっちり当面の答えを出している。
メジャーな百貨店カード事業は、
タカシマヤカード:セゾン (表は高島屋ファイナンシャル・パートナーズ)
松屋カード:DC(三菱UFJニコス)
大丸・松坂屋カード:三井住友カード (表はJFRカード)
三越・伊勢丹カード:エムアイカード(自社)
という具合で、三越・伊勢丹だけ自社。
阪急・阪神百貨店のペルソナカードも表向きは子会社のペルソナカードだが中身は三井住友カードだし、百貨店ではないが銀座シックスもクレジットカード事業は三菱UFJニコスに丸投げしている。
まずはタカシマヤプラチナデビットのような銀行タッグでVIPデビットカード事業を始め、富裕層の移行状況を観察してからエムアイカードをどうするかという流れが堅実でイイんじゃないか。
と、おせっかいながら思う。
何よりも、どうにもこうにもコントロールが利かなくなってきているハイブランドの本店誘導に対応するためにも、2-3%くらいのポイントを外部付与する方法を考えないと、10年後には稼ぎ頭のテナントがいっせいに出ていく可能性がある。
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