昔から感じていることなんだが、こういう局面で「売られ過ぎ」「どれだけ戻せるか」という表現を非常にしばしば見かける。これに個人トレーダーは振り回されて失敗するんじゃないか。
ボリンジャー・バンドをベースに言えば3σを超えた値動き=行き過ぎ→平常領域に値を戻すという見立ては教科書通りだが、そもそもチャートのための売り買いではいし、2020年に始まった円安トレンドも今年の03月以降加速し、言うならば米ドルは日本円に対し買われ過ぎていた。
わずか8ヶ月で115円から151円にも円安が進み、日銀が度重なる介入で円安阻止の意思表示しているので、もうこれ以上の円安は見込めないとして、積み上がったドル買い(円売り)ポジションの利益確定が一斉に行われるタイミングだと言える。
と言うより、あまりにも過熱していたので、市場は利確の理由を欲しがっていた状態。
ウクライナ戦争による「有事のドル買い」はもう落ち着いた頃合いだし(原油価格の値動きに危機感がない)、それに便乗した投機筋の円売りポジションはこの辺が潮時だろう。
ということから利確の材料が出揃っているので、究極的には今年の02月下旬の値(115円)まで戻しても驚くことじゃなく、再び円安側に値を戻すことが期待される局面ではない。
ロシアの弱さが露呈したことでアメリカ最強感は一段と増したが、そこで慌てて円資産を米ドルに振り替えたとしても120円台後半が妥当じゃなかろうか。
130円台で一旦足踏みし、その後は戦局次第だが安定ならまずは115円を目指すだろう見解。
チャートを見すぎると失敗する。ボリバン3σを「〜過ぎる」と考えるのは、文系がRなどで統計をかじると3σを異常値と呼びたがるソレと似ている。
ネジの製造のようにNmmと目標値が決まっている場合、平均からの誤差3σは外れ値(すなわち欠陥)として扱われるが、ヒトの能力のようにどれだけ頭が良かろうと運動神経が良かろうと構わない青天井の領域では3σ=異常値とはならない。
所得格差も-3σ(貧困)=異常値だから切り捨てようとはならないし、エルメスやロレックスの中古市場がどれだけ高騰しようと急落しようと±3σに収まるよう値を戻すことを期待しないのと同じで、戦時下のパニック相場にテクニカル分析は適用できない。
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