「FX/為替「ドル/円、売られ過ぎの領域からどこまで戻せるかが焦点」 外為どっとコムトゥデイ 2022年11月11日号 - 外為どっとコム マネ育チャンネル」

FX/為替「ドル/円、売られ過ぎの領域からどこまで戻せるかが焦点」 外為どっとコムトゥデイ 2022年11月11日号 - 外為どっとコム マネ育チャンネル

昨日のドル/円は終値ベースで約3.7%の大幅下落。一時は9月5日以来の安値となる140.19円前後まで下値を広げた。米10月消費者物価指数(CPI)の伸びが予想以上に鈍化したことで米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの観測が高まった。もっとも、CPIは鈍化したとはいえ前年比+7.7%の高水準だ。FRBのインフレ目標が2%であることを踏まえると、利上げペースが緩んでも利上げの停止が見通せる状況にはない。CPIを受けた大幅かつ急激な米債高(金利低下)とドル安は行き過ぎの反応であろう。ドル/円はボリンジャーバンドの-3シグマをも超えて下落しており、一時的に「売られ過ぎ」の水準と判断できる。今朝は142円付近まで反発しており、この後もどこまで値を戻せるかが焦点となりそうだ。戻りのメドとしてはボリンジャーバンド-2シグマの142.50円付近、昨日の下落幅の半値戻し143.39円前後などが挙げられる。仮に142.50円前後すら超えられないようだと、逆に戻りの鈍さが意識される可能性もある。本日の値動きは目先の相場展開を読む上でも重要なポイントになりそうだ。注目材料は、米11月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値で示される5-10年期待インフレ率(予想、前回ともに2.9%)だ。

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 昔から感じていることなんだが、こういう局面で「売られ過ぎ」「どれだけ戻せるか」という表現を非常にしばしば見かける。これに個人トレーダーは振り回されて失敗するんじゃないか。

 ボリンジャー・バンドをベースに言えば3σを超えた値動き=行き過ぎ→平常領域に値を戻すという見立ては教科書通りだが、そもそもチャートのための売り買いではいし、2020年に始まった円安トレンドも今年の03月以降加速し、言うならば米ドルは日本円に対し買われ過ぎていた。

 わずか8ヶ月で115円から151円にも円安が進み、日銀が度重なる介入で円安阻止の意思表示しているので、もうこれ以上の円安は見込めないとして、積み上がったドル買い(円売り)ポジションの利益確定が一斉に行われるタイミングだと言える。

 と言うより、あまりにも過熱していたので、市場は利確の理由を欲しがっていた状態。

 ウクライナ戦争による「有事のドル買い」はもう落ち着いた頃合いだし(原油価格の値動きに危機感がない)、それに便乗した投機筋の円売りポジションはこの辺が潮時だろう。

 ということから利確の材料が出揃っているので、究極的には今年の02月下旬の値(115円)まで戻しても驚くことじゃなく、再び円安側に値を戻すことが期待される局面ではない。

 ロシアの弱さが露呈したことでアメリカ最強感は一段と増したが、そこで慌てて円資産を米ドルに振り替えたとしても120円台後半が妥当じゃなかろうか。

 130円台で一旦足踏みし、その後は戦局次第だが安定ならまずは115円を目指すだろう見解。

 チャートを見すぎると失敗する。ボリバン3σを「〜過ぎる」と考えるのは、文系がRなどで統計をかじると3σを異常値と呼びたがるソレと似ている。

 ネジの製造のようにNmmと目標値が決まっている場合、平均からの誤差3σは外れ値(すなわち欠陥)として扱われるが、ヒトの能力のようにどれだけ頭が良かろうと運動神経が良かろうと構わない青天井の領域では3σ=異常値とはならない。

 所得格差も-3σ(貧困)=異常値だから切り捨てようとはならないし、エルメスやロレックスの中古市場がどれだけ高騰しようと急落しようと±3σに収まるよう値を戻すことを期待しないのと同じで、戦時下のパニック相場にテクニカル分析は適用できない。