ウマ付きバーキンが減った気がする。

 エルパト参戦前に観察した際、バーキン+ウマ(ロデオ)+ツイリー(特に色がちぐはぐなやつ)でほぼ日本人確定というくらい基本ウマ付きだったのが、この半年の傾向としてウマ付きバーキンが減ってきた気がする。街でもSNSでも。

 あまりに皆が同じで滑稽だから、本国が日本へのウマの出荷を減らしたのか、エルメス・ジャポンが輸入数を減らしたのか、はたまたセンスの悪そうな客に売らなくなったのか。それとも皆やっと空気を読んだのか(笑)。

 単にパンデミック時がおかしかったのか。

 明るい色の革の変色を嫌って、湿度の高い日本の夏場にハンドルにツイリーを巻くのはまだわかるが、せめてバッグと色(色調)は合わせてもらいたい(笑)。

 ウマもサイズが3種類(?)ほどあって、バッグの大きさとバランスを考えてもらいたい。バッグの1/3くらいを占めるようなウマを付けてる人がいる(笑)。ウマにバーキンが付いてるのかというくらい(笑)。しかもバッグの色と全く合わないやつ。

 赤(バッグ)・青(ウマ)・黄色(ツイリー)と信号機モチーフなのか、「出たーっ、日本人っ!」という字幕を付けたくなる幼稚園カラーなものを以前はよく見かけた。

 買った(買えた)もんを全部付けて歩くんじゃなくて、買ったバッグの色とサイズに合わせてウマとツイリーを選ぶのが当たり前だと思うんだが、買える時に買っとかなきゃで揃えて(いわゆる“実績”を積み上げて)いくせいか、バッグを手に入れるまでの必死な過程が表出し、バーキンが疲れて見える。

 他人のファッションにいちいちケチを付けるなとお思いだろうか。

 私はそういった人達のすることなすこと全てにまるで興味がなく(笑)、ヒトの認知分析のサンプルとして観察対象としているだけ。

 バーキンとはとてもシンプルだが完成したデザインであり、25cmは時代にもマッチしていて非常に美しい。

 その完成された作品に手を加える場合、センスに自信がある場合に限られると私は思っている。

 「ホラ、ご覧なさい」級の自信。

 「バーキンに足りなかったものを私が補完し完成させたワ」くらいの自信。

 そこに何でちぐはぐな色のツイリーや、あらゆるバランスが乱れるデカウマ(しかも色も合わない)を付け、150万円もの高価なバッグをわざわざ台無しにするのかなと考えると(本人は台無しにしてるつもりはないと思うが)、他人がやってることに憧れて自分もやってみたいという心理が前提にあるんだろうなと感じる。

 すなわち「ミンナやってるから私も」という日本人そのもの。

 私からするとモッタイナイ。

 という観点から、常々私と世間はどっちがエルメスに敬意を払ってるのかなとよく思う(笑)。

 もしウマ付きが本当に減ってきたのだとすれば、その心理変化が興味深い。

 常にファッションリーダーがいて、それを追いかける人達とがいるので、皆が同じことをするようになったことでリーダー側がウマを敬遠するようになり、再びそれが追随者に伝播しているのか。

 それとも皆さっさと売ってリタイアしたのか。

 エルメス側の客選び基準が変わり、顧客層が入れ替わり始めた(旧基準の人達に枠ありバッグが出なくなった)のか。

 私は最初からウマ不要派だが、外縫い(セリエ)にウマは特にすすめない。せっかくのカチッとキリッとした印象が崩れ、ウマは何ら付加価値を与えない。むしろ負荷価値くらい(笑)。

 ウマ付きが絶滅する必要はなく「一定数いる」レベルなら全く問題ナイんだが、日本はまるで教科書に書いてあったかのように皆同じ事をし出すので、部外者から見ると宗教的で薄気味悪い。エルパト用語といい。

 毎日それを否応なしに見聞きするスタッフも同じ事を感じているんじゃないかと思う次第。

 ※バーキンと名指しで書いたのは、ケリーはフォーマルなのでそもそもチャームを付けないだろうという前提がある。私の中で。