味は3つ星だが2つ星レストラン。

 ある2つ星レストランでディナーを楽しんだ。

 1人あたりお酒なしのコースが37,000円なので、今の物価水準から見るといわゆる高級レストランの相場通り。

 味は申し分なく3つ星なんだが、2つ星レストラン。

 ソムリエの男が目つきが悪いのと、口調に締まりがないというかやる気のなさそうな声で喋るので、最初のシャンパンからテンションが下がるという点を除けば、他のスタッフも悪くないし、3つ星でもイイんじゃないかというレストラン。

 ※ソムリエのソレは私のテーブルだけかと思ったが、どこのテーブルも同じ調子だった。

 ではそのソムリエのせいで最後の星1つが獲れないのか。

 可能性はあるが、少なくとも私+全欧米人にとって致命的な問題が別に1つある。

 お皿。

 見た目の印象は磁気っぽいが、陶器のように表面がザラザラしていて、フォークとナイフで食べるための食器じゃない。

 とにかくガサガサとうるさい。四方八方あらゆるテーブルからナイフでお皿を擦るヤスリのような音が聞こえてくる。

 アミューズのフィンガーフード用だけなら良いんだが、コース中3皿も出てきた。

 星を取るほどのシェフが何でそこで間違えたかな的な、日本人シェフの高級洋食レストランあるある。

 和食のように箸で食べるまたはお寿司のように場合によっては手で食べるための食器であり、ナイフで擦ることを前提に作られていない。

 生まれながらにフォークとナイフ文化の欧米人なら考えるまでもなく当たり前に毎日歯を磨くことと同じレベルでワカルことなんだが、日本人はどんなに洋食を極めても結局はアジア人だなと思う。

 これだけ洋食に囲まれて育っていながら。という話なんだが、そこが育ちかなと思う。

 バッグと立食パーティーのソレと似ている。

 日頃から周囲を見渡せば学習するチャンスはいくらでもあるにも関わらず、そこに目が行かない。すなわち認知に至らず通り過ぎてしまうというのが、何とも残念なところ。

 料理の撮影をする際、反射を抑えるためマットなお皿を好むというならその事情はよくわかる。が、それは撮影用機材であり、ナイフで食べる客に料理を出すお皿じゃない。

 しっかり稼いで、自分が客席で食べる側になっていかないと、最後の最後の「他に何が足りないのか」がワカラナイまま終わるのかなと感じる。

 何も足りてないシェフに言ってもしょうがないが、味は3つ星というレストランなので、何となく書いてみた。

 もう1つあえて言うなら、鼻をすするスタッフが多い点か。

 ま、これは日本人そのものの問題だと言えるので、完全排除は難しいだろう。

 欧米との所得格差が開いていく中で、生活水準の低さがそのままサービスに出るようになって久しい。

 果たしてどこに着地するのか日本人。