訴状では、エルメスの販売スタッフはバーキンの販売でインセンティブを受け取っておらず、そのほかの商品をどれだけ販売したかによって報酬が決まっていると指摘。
エルメスもバカじゃないだろうから、こういった訴訟を先読みし、仮に過去がそうであったとしても、既に販売インセンティブ制度を廃止しているというのが私の見立て。以前書いた通り。
裁判となると原告側は証言者(一般的に元従業員など)を集めるので、秘密保持契約が及ばず、エルメス側に都合が悪い情報が出てくる可能性がある。
エルメスはそこも先読みし、「実はインセンティブなんて存在しない」という結果になるだろう気がしている。
販売高が従業員の報酬に直結すると、必ず「●●買ってくれたらバーキン出すよ」とバーキンを餌に自分の売上を立てようとするスタッフが出てくる。
すると客達は「販売員をどれだけ喜ばせたか」を競うようになり、接待・賄賂漬けになって組織が腐敗していくのが目に見えている。この場合も、客は今と同じかそれ以上にお金を使うことになり、何もいいことがない。
ではなぜ「●●と■■を買ってくれたら」という営業トークが存在するのかというと、その日の売上上位とか週間・月間売上上位にランクインすれば出せるということじゃなかろうか。
要は誰にでもバーキンを販売していたらバーキンの価値が下がり、結果として欲しい人が減るので、何かしらフィルターを設けるしかない。
「売上に応じて」はその他のVIPサービスと同じで独占禁止法には抵触しない。
そこで以前書いたポイント交換の仕組みがもっともらしく成立すると考えられる。
購入金額に応じてポイントが貯まり、そのポイントをバーキン(の購入権)と交換する。
客から見たら「結局はいくら使ったかで決まるのね」となったとしても、これはどこにでもある仕組で、「購入額に応じて」をよりわかりやすく説明できる。
ただ私が見ている限り、現時点では購入額が全てではない印象なので、その他の査定アルゴリズムが存在するんだろうが、裁判となるとそこを開示されるよう求められるだろうことから、今後よりいっそう販売基準は複雑かつブラックボックス化していくと思われる。
最終的にはAI判定か。
「転売しない客」なども十分に正当性のある基準だと思うので、買って売ってを繰り返すタイプの客は引き続き無理だろうし、本来当たり前の生活(所得)水準の客に落ち着く流れじゃなかろうか。
これまでにエルメスのインセンティブ(はないだろう)について触れた記事を下記にリストアップした。
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