「国税が入る」とは。

 国税(国の税金)は個人には入らない(笑)。入ったら横領(笑)。

 「国税が入る」すなわち国税局の税務調査(または査察)が入るという意味合いで用いられている表現だと思うが、この言い回しをよく使う素人勢(いわゆる水商売系など)の調査に国税局は来ない。管轄は税務署。

 「税務調査が入る」「税務署が調査に来た」が正しい表現。

 基本的に国税局の調査は資本金一億円以上の法人が対象であり、個人や中小企業、自営業者などの調査は税務署の管轄。

 もしかすると調査に来た税務署職員の名刺に「国税調査官」と書いてあって略して「国税が来た」なんて表現になったのかもしれない。

 言葉の言い回しでその人の大凡の社会的な立ち位置がわかる。

 かれこれ17年ほど経ったが、うちに来た任意調査の税務署職員は上席国税調査官(数名)。「上席」が付くのは「順当に出世した中堅くらい」と元国税局職員の顧問税理士が言っていた。

 初日は6-7人くらいだっただろうか。当日の午後1人減り(多分統括)、翌日には2人減り、翌々日の最終日には更に1人減り、結局収入印紙の貼り忘れと年度をまたぐ支払い済みの年間広告掲載費を12ヶ月で割って一部は来年度に計上(修正)してと言われる程度で終わった。

 どの道利益の額から税率は当年も翌年も最大税率だし、翌年の経費が増えるだけなので、当年税金を払うか来年払うかの違いでしかなく「調査に来た手前」的なレベルのものだった。

 その後パタッと税務調査はこなくなって、新事業の初年度の初期投資がかさみ大きな税還付が発生した際、顔合わせ程度に1人来たのが最後。

 任意の税務調査が来る・来ないは、売上規模、利益率・額が大きかったり、取引先の税務調査からの反面(裏付け)調査だったり、還付金(消費税等)が大きかったりなど理由は様々。

 飲食代や贈答品などの接待交際費も、正当な取引先であれば認められても、家族・親族・愛人(笑)など事業と関係のない者に支払われている場合は当然に否認される。

 否認された場合、支出が損金にならないため利益の額が増えることから、本来納めるべき税との差額と、経過した日数分の延滞税が加算請求される。

 もらった側に調査が入った場合、受け取った金品相当額を所得として見なされ、所得税及び延滞税が請求されることになる。

 家賃なども同じで、事業と関係のない人物の家賃を負担し経費計上していると否認され、負担してもらっていた側はその物件の相場家賃相当額が所得として見なされる。

 ※契約書で例えば本来家賃100万円のところを10万円としてでっち上げたとしても、飽くまで相場家賃で算定されるので無駄な工作はしない方が良い。

 ということから、パパ活・愛人などを含め誰かの世話になっている人は、スポンサー(?)がその出費を事業経費にしていたりすると、3年以上経った頃に巻き添えを食らうということがあるので、何をするにしてもイチイチ領収書をもらっているような相手なら、念のため確認しておくと良い(?)だろう(笑)。

 こういった事情から、最初の3年は威勢が良くきらびやかでもその後パタッと消える人が多い。残念ながら。

 事業と関係のない支出は事業経費にしない。これがイチバン。