Diorほどかどうかはワカラナイが、FENDIの既製服も割といじっても良いことを担当者が変わったタイミングで知り、早速試着に行ってきた。
「(そのブランドが持つ)シルエットが変わってしまうから」という理由で簡単な補正(袖詰めとか)程度しか受けないブランドが多いが、実際はブランドの規定というよりは、単に担当スタッフの力量で受けられるレベルが変わるブランドも多いっぽい。
※もちろん限度があって、ポケットの数を増やしたりなくしたりとかはできないし、ポリシー上ロゴの真ん中に切れ目が来ないように等の要求はある。
要は担当するスタッフが仕立てを理解していないと、客が求めるシルエットを実現するにはどこをどういじって良いのかワカラナイので、工房に指示書が出せない(だから受けたくない)という単純な問題。
すなわち「ただの販売員」と「仕立てを学んだ販売員」の違い。
で、FENDIの新しいスタッフは仕立ての学校を出ていてかつ非常に優秀で、テキパキとこなし、込み入った話も珍しくほとんど1回で通じる。
面白いことができそうなので、一着買ってメンズ上下をいじり倒してみることにした。
で、FENDIは今年100周年らしい。
帰り際、FENDI 100周年を記念したコレクションの一部を見た。
「1925」の文字と共にいかにもエリートっぽいエンブレムのワッペンが目に入ったのでスタッフに尋ねてみたところ「FENDI CLUB」という名称らしい。
このエンブレムをクラブの仲間の印として掲げるというコンセプトが、1925年当時のアメリカ禁酒法時代におけるポピュリズム台頭の裏側にあったエリート主義っぽい。グレートギャツビーで言うブキャナン家的な。
これもまた近年細々と続いている「オールドマネーファッション」の一部を構成しているんだろうと思うが、今まさに世界はポピュリズムまっしぐらにあり、大衆は横に拡がり平均に収束していく中で富裕層の富は青天井化していて、むしろ格差は更に広がっている。
そこで特権階級を意識した方向性のデザインは、暗に「選ばれし者」を表現しているんだろう。
「ブランドのロゴ」の在り方の変化にもつながっていきそう。
非常に興味深い。
10年、20年後に、ファッション系の教科書でこの流れをどう解説しているか読むのが楽しみ。
ちなみに私の「興味深い」は、観察・研究対象として興味があるという意味合いが多く、個人的な好き嫌いと一致していないことがほとんど。実際にこのコレクションの中でこれといって欲しい品はなかった(笑)。
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