余所のブランドと同じく、シーズン物のスポット商品には荒さも目立つが、プレタポルテに関しては今もなおディオールの品質は非常に高い。
多くのブランドの既製服には「お直し」の範囲に制限がある。
袖詰め、丈詰めしか受け付けないことががほとんどで、なおかつ丈に関しては何cmまでと切っていい長さが定められていたりする。
そのブランド(デザイナー)のシルエットを崩さないようにというのが主な理由。
拡大・縮小・カットしかしないパターンオーダーと似ている。
それに対し、「ディオールはとことん身体にフィットさせてくれる」(婦人服)と昔から聞いていたので、メンズはどうなのかと1着ウールのオブリークジャケット+ズボンを買ってその自由度を試してみた。
結果として素晴らしい。
ハウスオブディオールにはちゃんとテーラーがいるので、「お直し」レベルの調整ではなく、パターンオーダーを超えイージーオーダーに近いほど調整ができる。
原形を留めていないほど(笑)にいじり倒した。追加料金はゼロ。
商品代は上下で57万円(税込)なので、デパート内テーラーでそこそこ良い生地を使ってフルオーダーで2ピーススーツを作るのと同じくらい。
だったら「フルオーダーで」といつもの私ならすすめるところだが、ディオールのロゴやブランドネームが欲しい人などいわゆる「ラベル重視」の人にとっては第一選択肢となりうる。
ただし日頃からフルオーダーで完成形(理想型)を自分で理解していて、既製服の試着からどこをどういじればその完成形に近づくのかをイメージできる人に限る。
最終的にどうなりたいのかが本人がわかってないと(顧客からの指示がないと)、そのブランド所属のテーラーはシルエットに影響を及ぼす部位には手を入れられないから。
同額のフルオーダーならドーメルのアマデウスなどの生地が選べるので、生地だけ比べるなら遙かに高級感があり、「わかる人にはわかる」で通る人にはその方が良いが、中身が伴わず(笑)ブランドのロゴの威力を必要としている人や、ミーハー女性にキャーキャー言われたい(笑)タイプの人には、ディオールのプレタポルテをいじってみるのも1つの選択肢としてありなのかなと思う。
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