腸内細菌叢(フローラ)検査を受けてみた。

 前々稿で触れた腸内細菌叢(腸内フローラ)検査について。

 カルピスの「マイフローラ」というサービスで、実際には「(株)サイキンソー」が行っている検査だが、1年ほど前にカルピスのメールマガジンで知り私はカルピス経由で受けた。

 検体送付後、11日後に結果が出た。

 5段階中、上から2番目のB判定だった。

●私の腸内細菌は多様性に富んでいてA判定。グラフ8段階中、上から2番目。様々な疾患患者、肥満者、下痢の症状を有する人達は菌の多様性が乏しい(常在菌の種類が少ない)らしい。

●有用菌指標はC判定。酪酸産生菌は中の上あたりだが、加齢と共に減少するビフィズス菌は中の下あたりだった。確かに昔から乳酸菌サプリは継続的によく摂っているが、ビフィズス菌は最近ほとんど摂ってなかった。早速摂り始めた。耐酸性カプセルで生きたビフィズス菌が腸まで届くタイプ。

●腸管免疫指標はB判定。酪酸産生に関わり腸内炎症のある人は少ないとされるクロストリジウム属(Clostridium)は良好、腸管内の炎症に関わり過敏性腸症候群患者は少ないとされているアリスティペス属(Alistipes)も良好。酪酸産生菌の代表格で腸管免疫機能に関わり大腸炎患者は少ないとされているフィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)は中程度だった。

 早速フィーカリバクテリウムを補おうとサプリを探したところ、嫌気性菌なので酸素に弱く市販化が難しいらしい。

 摂取ができない場合は既にいる菌を腸内で増やす方法を考えるしかない。例えば多くの善玉菌は食物繊維を餌としているので、今後フィーカリバクテリウムの好物について研究したい。

●要注意菌指標はA判定。潰瘍性大腸炎などの疾患に関わっているとされるストレプトコッカス属、毒素を産生する病原菌を含むガンマプロテオバクテリア網の種類、炎症線腸疾患患者に多いとされる口常在菌群の占有率も全て限りなくゼロに近い良好値だった。

 いわゆる悪玉菌が極めて少ないということ。

●他「参考」程度のダイエット・美容の項目があり、いわゆる「痩せ菌」(アッカーマンシア属)は「なし」だった。一方でBMIと統計学的に有意な相関があるとされ、太り気味の人に少なく、痩せ型の人に多いというクリステンセネラ属は「あり」だった。

 全く運動もせず長らく体型は維持しているので、腸内フローラ的に割とコントロールしやすいタイプということだろう。

 エクオール産生菌も「あり」だった。男性にどのくらい重要かは詳しくないが、日本人の30-50%の人はこの産生菌がいないため、大豆を摂ってもエクオールに変換されないことから、エクオールを直接摂取する必要がある。女性には重要事項。

 ※サプリも同じで、エクオール産生菌がいない人は大豆イソフラボンではなくエクオールを選択しないと期待する効果は得られない。通常エクオールの方が2-3倍高い。


 腸が「第二の脳」と呼ばれて久しい。腸内細菌叢はエクオール、ビタミンKの産生に始まり、太りやすさや各種疾患、更には「鬱」や性格にも絡んでいると言われていてる。

 この20年、歯周病菌が全身疾患に関与しているということが広く知られるようになった。その範囲は広く、糖尿病から早産にまで及び、心筋梗塞患者の心筋から歯周病菌が検出されることもあるというほど、ヒトは菌に支配されつつある。

 支配されずに制御できるようになることが重要であり、菌の研究を始めてかれこれ12年ほどたった。


 カルピスを窓口としたマイフローラ被験者の腸内フローラは全体と比較して「やや良い傾向」という結果が出ていることから、乳酸菌やビフィズス菌に対する意識が高い(積極的に摂取している)集団だと言える。

 各集団ごとに似た細菌叢の人達が群れている可能性があり、集団心理や行動科学の観点からも興味深い。