純資産の何%という計算だと、資産が増える勢いに対して寄付額(率)が小さく見えるのは当然というか仕方ない。
多くの資産家の資産の大半が株(創業者は自社株)や不動産なので、評価額が上がったからその分寄付しようとすると売却する必要がある。
例えば10億円で購入した土地・家の評価額が10年後に30億円に値上がりしても、その不動産を売らない限り儲からない。では自宅を売ってまで寄付するかというとそうではない。
株も同じで、創業時に評価額1,000円だった株券が10年後に100万円になったとしても、その株を売らない限り儲からない。じゃぁ売ればいいと言っても、創業者が自社株を大量に売ると「(カリスマだった)経営者が辞めるんじゃないか」とか「もうこれ以上業績が伸びないかも」という憶測を招き、株価が急落しかねない。すると会社自体の価値やボーナス代わりに与えていた社員のストックオプションの価値が下がったり、他の投資家にも迷惑をかけるので、簡単にはいかない。
ウォーレン・バフェットのように株をそのまま譲渡するというやり方もアリと言えばアリなんだが、もらった方は株を売らないと現金化できないし(すなわち売るまで役に立たない)、上がっている間は売りたくない。そうこうしているうちに株価が急落すればもらった寄付額も動的に下がる。よって今1,000億円分の株を寄付しても、売却する頃には10億円になっているかもしれない。もらった側のセンス次第だし、大量に売りに出せば基本的に価値は下がるという構造下にある。
全体の半分を超える資産を持つ1%の人達が資産を売却しようとした時、一体誰が買えるのかと考えたら、売ろうとすれば下がることを意味する。
というわけで、“評価額”で(もし売ったら)いくら相当の資産があるという計算上の資産から算出するんじゃなくて、前年の現金収入はいくらだったかを基準にしないと、現実と乖離する。
会社の売上と利益(粗利)や税引き後の最終利益、社長の年収と手取額はそれぞれ全く意味が違うのと同じ。
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