WTI原油先物は86.96ドル。
もしかすると原油相場は値崩れするかもしれない。
原油に限らず平常時の相場は市場取引すなわち需要と供給のバランスに委ねられているが、異常事態になれば政府、場合によっては各国合同で協調介入が行われ、相場の是正を試みる。
しかし基本は「価格は市場で」なので、どちらかというと政府高官による「急激な変化は望まない」という口先介入に始まり、「行き過ぎるようであれば介入するよ」という姿勢を見せ、単発的に行動をとることで、市場に警戒感をもたらすことに意味があるという心理的な性質を持っている。
最小限の行動で最大限の効果を得るテコの原理。
が、戦争となると話は別で、原油や資源の高騰は急速な物価高につながるため、実質的・本質的な対応策(すなわち市場介入)が施される。
ロシアに対する経済制裁が誰も予想しなかった領域にまで踏み込んでいるのと同じように、介入も平常時とはまるで異なる深度で行われる。法律によるプライスキャップもそうだし、重要なインフラの国有化などもそう。
すると元々心理的な作用を利用してテコの原理のように市場をクールダウンさせていた介入が「そこまでするか」という域に達し、投資家達は先が読めなくなりひとまず手仕舞いを強いられる。
それによって流動性が低下し、テコの原理がより大きく働くようになる。対抗勢力がなくなっている状態。無風というか超伝導状態というか。
その結果、「政府が本気を出すと市場は何とでもなる」という強権圧力を感じ市場が萎縮する。
戦争時は常にそういった中央集権的な空気に包まれるものなのでやむを得ないんだが、長らく世界経済に影響を与えるほどの戦争がなかったため、今の現役層の大半にとって初めてのことだからインパクトが大きい。すなわち心理作用が大きい。
ということから、欧米で次から次へと繰り出されるロシア対策(原発回帰も含め)によって、原油は値崩れする可能性がある。と感じている。
今年は「平均80ドル」という見立てを維持しつつ、流れによっては一旦急激に下がるかもと付け加えたい。
円相場は、原油が下がって物価高が落ち着いた後からついてくるだろう見解。
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