以前スックのファンデーションが「諭吉ファンデ」と呼ばれていることを書いた。
諭吉すなわち1万円の国産ファンデーションとして話題になった初代製品の発売はまだ7年くらい前のことだが、その後2-3回のリニューアルを経て、後継品として今年09月01日に発売となった「ザ・ファンデーション」の価格は14,300円(税込)。
約1.3倍。ランチやディナーの価格と同じくらいの上昇率。
もちろんファンデーションの価格が上がったから私のようなオッサンのツラ(笑)に影響があるわけじゃないんだが、ファンデーションとか基礎化粧品とか女性にとって生活必需品の価格の変動は、物価や相場観を知る上で非常に意味がある。
そこで問題は、『物価から見るエルメスのバーキンの値段』でも書いてみたが、今現在あまりにも日本人と海外の相場観に大きな開きがある。で、価格をどっちに合わせるか。
「そんなもん国内価格、(例えば)イギリス価格と分けたらいいじゃないか」というのは1990年代くらいまでの思考であり、価格差があると消費者は安い国から購入し、並行輸入や個人輸入が他の国の正規ライセンス企業の利益を奪うため、為替差損益さえも生じないよう価格を統一するのがこの20年(現地価格がすぐに世界中に知れ渡るインターネット時代)のやり方。
外国人の相場観に合わせると、日本人がおいていかれる。日本企業がソレをするわけにもいかないと気にしていると足を引っ張られ、結果として本来得られる利益が失われ国際競争力が損なわれるという悪循環にある。日本企業は。
世界の人口の僅か1.5%(日本人)に配慮するか、それ以外を獲りに行くか。
そもそも1万円超えのファンデーションは生活必需品ではなく贅沢品だろうと考えたら、本来思い切った値段を付けてイイ。
で、スックのこの値付けは「思い切った」のかと問うと、世界的な品質に対する評価の高さと、まだまだ「Made in JAPAN」の値打ちが高い化粧品分野における印象プレミアなどを勘案すると、現在の欧米の物価および現在の円相場から見るとまだまだ安く、私の感覚値では2万円でもイイんじゃないかと思う。
最終的に「間」を採ったのかもしれないが。
※福島の処理水放出を理由に、中国では日本製化粧品も不買の方向らしい。これらがその他の国に波及すると急速に「Made in JAPAN」の値打ちが下がる可能性もある。
そのくらいの話じゃ面白くないという人向けに、今後スックのファンデーション約100個分がエルメスのバーキンの国内定価として推移していくんじゃないかと予想。ファンデーション半年1本なら50年分か。
ブランド価値も企業規模も異なり、何もつながってない企業同士だが、マクロ経済とは隅々まで考慮し計算し尽くされるほど多くの物が連動するようにできている。
ビッグマック指数のように、「高級ファンデーション何本分」という目安的な捉え方。
10年後くらいに思い出していただきたい(笑)。
0コメント