何となく感じている去年末〜今現在のエルメスの新転売対策の方向性の話。
■そもそも枠バッグはそんなに必要なのか。
もしかすると年2枠買い続けている人は黄色信号かもしれない。ましてや夫婦枠で4枠買っている人は。
毎日・毎週パーティーという人ならまだしも、客観的に見て普通の人に毎年2,4枠は多すぎる。3年も続けば6個または12個にもなり使い道を超えて飽和するだろう。
多すぎる場合ヒトは何をするかと言えば、一般的には古いのを売る。
転売対策の観点から見れば、今年は1枠かも、或いは1枠も来ないかもという状態が続けば客は手持ちを売らない。
エルメス側は出し渋ることで転売抑止力になるということ。
出し渋ったから売上が下がるわけではなく、1枠を幅広く出すという手もある。翌年はゼロとか。
そうすることで「毎年2,4枠買える」と決め込んでプランを立てている(業としての)転売屋を方向転換させられる。安定しないとビジネスにならないから。
■金融商品化するエルメスの枠バッグ。
転売屋ではない一般顧客の場合、2-3年使ったものを売るのは「転売」ではなく、中古品の処分という感覚だと思うが、バーキン・ケリーの場合利益が出るという特殊な物品であるため、売ることを躊躇わないどころか積極的になりやすい性質を持っていて、転売と中古処分の境が危うくなっている。
バブル時代の不動産みたいな状態。
言い換えると、その換金性及び利回りの高さゆえにバーキンまたはケリーを買うという人も多いだろう。
他のブランド品なら二束三文なので、売るのがもったいなく、だったら使おうとなるところだが、エルメスの場合は売れば次のバッグどころか“実績”の資金源にさえなる。
すなわち金融商品としての性質を持ち、純粋にファッションアイテムとして愛用しているかというとそうでない人達が一定数いる。
実際に日本の中古市場は、外国人が羨むほど美品が沢山流通している。日本人が「丁寧に使う」からと言われているが、あまり出番がないまま売る人が多いというのが実情だろう。
そこで次のバッグが手に入らなければ古いのを売らないので、枠を全消化させないことで中古市場の流通量を減らすことができる。
親から子供へという昔ながらのヨーロッパ文化を踏まえると、そもそも「売って新しいのを買う」はあまり美しくない。
世間の印象では需要過多に見えていても、エルメス顧客に絞って言えば供給過多が続いてきたと言え、エルメスは「転売対策」を超えて二次流通対策(中古市場のコントロール)を採るんじゃないかと私は感じている。
以前も書いたが、結局のところ転売店(専門店?)にある新品バーキン・ケリーは顧客から出ているものなので、顧客を洗い直す必要がある。
■ファッションアイテムとしてのバッグとは。
一般人の服装は何気にワンパターンで、特に日本人は色使いが限定的。多くの場合、黒、ベージュ、グレーを持ってたら十分という人がほとんど。
見方を変えると、定番色に加えて赤も青も黄色もオレンジも紫も着る(差し色ではなく全身の主たるカラー)という人には、「あの色のバッグもあったらいいわネ」ということになり、飽和上限量が上がるということ。
お金にゆとりがないと、下手に色があると合わせづらくなるから一色・二色に統一するという人が多い。
「冠婚葬祭」というカテゴリ名の通り、寿も喪も一括りにする日本文化は「とりあえず黒」みたいなところがある。早い話使い回し文化。
裏を返せばゆとりがない人に150万円もするバッグを何個も出してもしょうがないでしょうということでもあり、バッグの数に見合うファッション(及び所得)の人に出しましょうということじゃないかと推察する。
ということから、全身エルメスではデザインや色使いも単調化するので、エルメスで沢山お金を使っているからバッグも沢山出るという時代はそろそろ終わりなのかなと思う。
// かといって顧客をないがしろにはできないので、上顧客には枠バッグ以外の待遇が用意される流れじゃなかろうか。
例えばエルメスに豹柄はナイと思うが、エルメスに豹柄がナイから豹柄を着る人がいなくなるわけではなく、ハイブランド市場でしのぎを削るエルメスとしては、より多用なファッションスタイルに対応していく必要があり、「あの人にエルメスのバッグを持ってもらいたいワ」と思われることが、これからの客側のテーマとなるだろう気がしている。
要は沢山のバッグが本当に必要な人(客)かどうかということ。
というのが2023年を振り返りりつつ2024年に向けた見解であり、これまでの見立てを維持。
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