「米欧、高級ブランド失速 LVMHやケリング1~3月減収 中所得層が節約志向 - 日本経済新聞」

「以前なら予約しないと店に入れなかったけど、いまはすいています」。ニューヨークの高級商業地区5番街にある宝飾品店「ヴァンクリーフ&アーペル」の販売担当者はこう話す。店内は訪問客がまばらだ。

 去年の夏頃だったか、パタッとブームが過ぎ去った感じがした。そもそも何であんなに一般人にまで流行ったのか私には全くワカラナイが。

高級品を時折購入する会社員など中所得層の家計は厳しい。この層が節約志向を強め、ぜいたく品の購入を渋り始めた可能性が高い。欧州も似たような状況だ。

 可処分所得が物価の変動に敏感な層(北米なら年収5,000万円以下、日本なら年収2,500万円以下)は、何かあったら売って現金化する必要があり、流行り物じゃいざという時に役に立たないことに気付いた(より価値を吟味するようになった)というのもあるんじゃなかろうか。

 一例として、シャネルのシーズンカラーバッグを買わず昔からの定番カラーに人気が集中しているように。いつのものかパッと見わからないから、流行に左右されない分値崩れしにくいらしい。

 特に業績の低下が著しいケリンググループのブランド構成を見ると、アレキサンダー・マックイーン、バレンシアガ、ボッテガ・ヴェネタ、ブリオーニ、グッチ、サン・ローランという具合に、二次流通市場では二束三文系ばかり。

 こういうブランドは、お金が有り余っていて自分の好みだけで楽しめる人達向けで、急速な物価高に強いブランドじゃない。

 またこの10年の傾向として、所得上位10%を摘まんでも日本人の全人口以上にいる中国人の購買動向にトレンドが影響をうけやすい。

 バブル時代の日本人でさえ海外ブランド市場に影響を与えたくらいなので、1億人超の中国人(中国の上位10%)が買い漁れば当然に供給が追いつかず、SNSでの露出数も外で見かける数も圧倒的な分、世界中でもの凄く流行っているように見える。

 更にはエルメスやロレックスの転売ビジネスではモノ不足で成り立たないため、他のブランドを流行らせようと業者が煽るというのもあり、株で言う「連れ高」系のブランドも多数あった。

 という具合に、嵐が訪れ過ぎ去っていく過程で、急激な需要増に対応すべく増産体制を整えてきたブランドは今後赤字化するどころか供給過多でブランド価値が低下する可能性が高く、エルメスはこの嵐の通過を割と冷静に見守り、通過後のリストラ(合理化)に目を向けているのかなという印象がある。昨今の閉店(地方)・新規出店(都心3区)などを見ている限り。

 手堅い。

 ヴィトングループ(LVMH)はただのファッションブランドではなく、ラグジュアリー業界全体を見てビジネスを営んでいるので巧く対応してくだろうと思うし、その点において、手堅いエルメス、圧倒的ブランド力のシャネル、巧みなヴィトングループが今後もハイブランド業界をリードしていくんだろうなと思う。