トランプ関税発表後、債権・株・米ドルのトリプル安から慌てて臭わせ発言を行い、“撤回”観測が出始めた頃から市場は落ち着いている。
かつ英国との合意第一弾の発表、中国との合意と続き、チャートを見ている限りトランプ関税騒動は終わったかのように見える。
問題は、合意に達した英国とでさえ基本の関税+10%は維持すると発表されているので、トランプ関税発表前まで巻き戻されたわけじゃない。そもそも英国は10%だったので、“取引”の結果(成果)が出るまでどういう影響があるか何もわからない。
数字上は、145%から30%に下がった中国の方がインパクトは大きい。
それでも30%。
にも関わらず、楽観視する人が多いのはなぜか。
トランプ大統領流のいわゆる譲歩的要請法(ドア・イン・ザ・フェイス)の効果かなという印象がある。
対象国だけでなく市場とも“交渉”している。
トランプ大統領:全世界関税10%だ。
市場:えー。対策を考えなければ。
トランプ大統領:中国は追加関税合わせて145%だ。
市場:これはマズイ。→トリプル安
トランプ大統領:中国と“取引”がまとまった。115%引き下げ、関税は30%だ。
市場:無事解決して良かった。今ココ。
解決したのか(笑)。
145%のインパクトが強すぎて30%が安く見えているだけじゃないか。
アメリカには、800ドル以下の少額輸入には関税を課さないデミニミス・ルールというものがあり、中国に対しては適用を除外して120%の関税を課すと発表していたところ、今回の合意で54%に下げた。かつ1件あたり200ドルとしていたものを100ドルに下げた。
アメリカの消費者によって中国のECサイトから購入(輸入)される商品の多くがこの(800ドル)範囲内だろうことから、54%だろうと100ドルだろうと大きい。
言うまでもなく低所得層の消費活動に与える影響が大きく、かつ物価高を引き越す。
これに対応すべく所得税減税策と共に「年間所得が20万ドル(約2900万円)未満の中・低所得層に対して重点的に取り組む意向」を発表しているものの、このまま行けば再び市場は発作を起こすだろうと感じる。
将来的には暴動・デモ・ストライキが抑えきれず撤回に向かう可能性もあるが、恐らくその前に株式・債権市場が反応すると思われる。
というわけで、もし聞かれたら株式投資は様子見をすすめる。
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