この数年絶好調だったデパート各社の成長に陰りが見えてきた。
コロナ以降、エルメスやロレックスにちょっとでも力添えしてもらおうという人達から派生したであろうデパート外商ブームが起きていたが、令和の外商部にそんな力はなく。
むしろハイブランド側からデパートシステムと切り離され、ただの「場所貸し」が主流になりつつあり、不動産賃貸契約の関係では何の力も及ばない。松屋のヴィトンはその形態の筆頭。
かつ、ここ何年かのデパートの飛ぶ鳥さえ落とす勢いの売上を支えていたのは、営業しなくとも客は列んででも自ら買い求め勝手に売れる欧米ハイブランド勢であって、国産ブランドでもなければ外商部の営業努力の成果でもなかった。
が、欧米ハイブランドのおかげで、一時期は「百貨店はもう終わり」とまで言われていたデパート業界がバブル期超えの過去最高益を記録するまでにV字再浮上したのだから、本来ならばそこで「次の一手」を打ち起死回生と行きたいところだが、私がこの4年間で観察した限りでは、ある一定額使うと「ラウンジが使える」「外商イベントに呼ばれる」以外、特に何も打ち出していない気がする。
すなわち昔と何も変わってない。
観察中、収穫ゼロだったわけでもなく、唯一高島屋のフィナンシャル部門にはちょっとした期待を抱いている。
免税売上高は全社3〜4割減で、4カ月連続で前年を割った。訪日外国人客の高額消費が一巡し、客単価が低下した。
訪日客数自体が減ったのかというとそうではなく、日本政府観光局の統計によると、前年同月比で02月は16.9%増、03月は13.5%増、04月は28.5%増、05月は21.5%増と好調。
ということは日本に来た外国人の訪問先・消費先が変わってきているということ。
極度の円安から円高方向に傾きつつあることで割安感が薄れたことが主たる原因だとすれば、“環境ボーナス”という外的要因に転嫁できる一方で、「安いから売れていたのであって」という痛いツッコミ処を与えてしまい、結局のところ「日本のデパートが素敵だから」の業績ではなかったということになる。
昭和の時代から何も変われないまま再び地盤沈下するのか。
そこは見届けたくない。
というわけで、2020年から始めたデパート外商ウォッチもそろそろ潮時かなと感じている。
0コメント