「国内百貨店4社の7月売り上げ前年下回る インバウンド消費減で | ロイター」

 これで5ヶ月連続なので、インバウンド景気の峠は越えたのかなと思う。

 百貨店業界は「7月の噂」のせいだとやり過ごしそうだが、最近久しぶりに行ったあるハイブランドブティックのスタッフも「4月頃から急激に売上が落ちた」と言っていたので、トランプ関税ショックによる先行き不安から世界的に財布の紐が堅くなっていると思われる。

 日本でインバウンド絡みのニュースが出ると、そのコメント欄ではインバウンド自体を毛嫌いしている人が結構な数いる。

 ナショナリズム、ポピュリズムの時代に外国人排除の流れは昔から付きものだが、日本の場合構造的にインバウンドを排除すると、単純労働者の働き口が激減することになる。

 求人とは数をさばききれなくなった時に人員増強するために行われるので、客入りが減れば求人が減るどころか人員削減が始まり、ひいては店舗削減につながる。

 人口減にある日本において、客入りが増える要因とはインバウンド以外全くないので、これを嫌っていると大凡60%(日本のサービス業従事者÷全就業者=割合)の人達が仕事を取り合い、いずれ働き口に困ることになる。

 地方ではこれが加速する。

 エルメスを筆頭にハイブランドの地方撤退がその流れの先端にあり、いずれは客入りが見込める東京に一極集中する。

 すると働き口のない地方の若者は東京で仕事を探すことになるが、東京(または首都圏)で生まれ育った実家暮らしの若者とは環境基盤が異なり、高い家賃と物価に見合う給与が得られる仕事には簡単にありつけず困窮する。

 そうやって更に貧富の差が広がり、闇バイトのような市場が大きくなることで治安が悪化する。

 また出荷数が減ると製造業はスケールメリットが得られなくなり、コスト高を吸収できなくなって値上げが加速する。結局それが国内の物価高となって日本人に跳ね返ってくる。

 ということから本来はインバウンド売上はありがたいことでしかないんだが、平和ボケした人達は相変わらず批判を繰り広げている。

 「感謝して生きなさい」的な説教じみたことは言わないにしても、ある程度は誰のお陰で経済が回っているのかくらいは意識した方がイイんじゃないかと私は思うが、島国日本は意固地になって閉鎖的な思考に向かいがちなのが懸念点。