先に言っておくと、私の選択肢にはナイ。
最近たまに行く美容室の女性美容師(30代前半)の常連客にバーキンが欲しくエルパト中の医師がいると聞いた。「ありますか」とただ尋ねるだけでなく、何かしら買い物してから聞くようにしてるようだが、バーキンはおろかバッグは何1つ出てこないと嘆いているそう。
で「だから転売(通称「専門」)店で買う人も多い」と、どこか心が揺れているような発言があったらしく、それに対し美容師は「2-3倍ものお金を払って急にバーキンだけポンって持っても、全体のバランスが整ってなくてバッグが本物に見えないと思うんですよ」「お金持ちが時短のために2-3倍の料金払うっていうのならわかります」と私に語った。
オモシロイ。
「本物に見えない」という視点は大衆的で私にとっちゃ刺激的な切り口(笑)。
バーキンを持って本物に見えないような人がバーキンを欲しがらないだろうという前提にあるから。私は。
もちろん時代はそうじゃないどころか、パパ活でレディディオールを持つ時代。分相応・不相応なんてもはや死語だろう。
医師でそれだけ買い物してるということは勤務医ではなさそうなので、ある程度身なりは整っていそうだが、美容師の口ぶりから察するところ、何かが足りないということか(笑)。
確かに「(生粋の)お金持ちが時短のために」は良い。商品が本物であると信じ切れるのであれば。少しでも真贋を疑うなら私はすすめない。結局モヤモヤを解消するために、またしばらくして正規店に通うことになるだろうから。
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実際去年バーキンの転売状況を知りたくメルカリを覗いた際、「正規店で買った」よりも「専門店・中古店で買った」が圧倒的に多く、そのほとんどが1年以内(自己申告)の売却だった。エルメスに腹を立てて「だったら」と衝動的に買ったはいいものの、そもそも「要らない」という選択肢を忘れていたのか。
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お金持ちが時短策を選んだ場合、既に全身が整っているので、そこにバーキンがポンっと飛んできても違和感がない。生活も含め。
電車には乗らないだろうし、30cm以上のバッグを持ってディナーには行かないだろう。
そこに美容師は同調し「30cm以上のバーキンでそのまま食事に来たら、会社帰りかな、A4書類とか入ってるのかな、どうしても見せたかったんだろうなって思っちゃいますよね」と続けた。
慣れてないと「(自分にとっての)とっておきのバッグ」こそが最高のドレスアップだと勘違いしついやってしまいがち。
「とっておき」かどうかとドレスコードやマナー、TPOは関係ない。
で、まだ全体がその域に達してない人が時短策を採ると、身なりや行動、生活水準とのズレによって「この人がまさか140万円超のバッグを持ってるわけない」と思って「バッグが本物に見えない」と思うらしい。
そりゃ残念。高いお金払って買ったのに活きて働かない。
その点、俗に言う「エルメスゲーム」に参加し正規店で“実績”を積み上げていけば、少なくともバーキンが出てくる頃(世の中的には購入額300〜800万円)には全身エルメス化していて、高価な物の扱いにも慣れ準備は整っている。
買った物を売ってなければだが。
これは芸能人と同じで、どんなに才能があっても、アマチュアから突然大スターへワープしようものなら、顔がむくんでいたり(笑)、メイクや髪型などどこか垢抜けずイモくさかったりするし、場慣れしてないと仕草が素人くさかったりする。カメラ目線1つとってもそう。
パーティーシーンやバータイムも同じで、シャンパングラスの持ち方やブランデーグラスの持ち方ですぐに主役側とその他大勢側(ただの参加者)の見分けがつく。
1日2日で身につくもんじゃないものがたくさんある。
それをあてはめるならば、“エルメスゲーム”においてバーキンやケリーを手に入れるまでの買い物期間はデビュー前の「下積み」のようなものか(笑)。
これらを既にバーキン持ちの欧州・ロシアの知人女性と話したところ、大方似たような見解で、正規店で積み上げた“実績”は「年間2個」などいわゆる“枠”の権利を獲得したり、その後特別なイベント等に呼ばれたり(すなわち“体験”との引換券)といった、顧客としての「これから」がある点に意味があるという考えが多かった。
私もそう思うので似たような人が引き寄せられ群れを形成するのだろうと感じた。
私は正規ブティック以外は考えられない。本当に欲しいスペックのバーキンやケリーを手に入れるまで何年かかろうとも。
「モノを無駄にしない」という意味でも中古店の存在意義はわかるんだが、私は生まれつき(?)中古を買うという選択肢がない。一方、「専門店」という名の新品転売店の資金源になりたくない。あれだけ世間で毛嫌いされている側に加勢したくない。そもそも、私の場合世界中が難題とする“エルメスゲーム”を解き明かすのが楽しいのであって、2-3倍ものお金を払ってまでバーキンが欲しいという物欲がナイ。定価でしか買わない。
「でも正規店でも結局は同じかそれ以上のお金を使うじゃないか」と問われたら、出費だけ見たら確かにそうかもしれないが、バッグを手に入れるまでに買った物は全て自分のものなので、マフラーや手袋があれば冬は暖かい。一方転売店という選択は時短はできても、それに見合ったマフラーや手袋を別途買う必要があり、同じ風貌が完成するまでに更にお金を使うことになる。
だからバッグを手に入れた時点で支払った合計額は同じでも、その時点での見てくれは決して同じじゃなく両者の開きは大きい。生粋のお金持ち以外は。
というわけで私は正規店で買い物を続けるか「要らない」のどちらかしかない。
で、またその美容師を指名予約した(笑)。
視点や思考が猛烈に大衆的なんだが、他の話をしていてもイマドキ珍しく堅実で賢く、世間がどうやってマウントを取り合い、どのように自尊心を保とうとするのかを観察学習する上で非常に参考になる貴重な存在。
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