「日本人は「超過死亡増加」の深刻さをわかってない 科学的に合理的でないコロナ対策を続けていいのか | 新型コロナ、「新しい日常」への前進 | 東洋経済オンライン」

 去年の10月の記事だが目に止まったので。

 日本のコロナ禍の超過死亡数(=観測された死亡数-予測死亡数)が多いのは、医療逼迫によって治療が受けられなかったからではなく、長期にわたる自粛(によるストレスと生活習慣の変化)が高齢者の命を奪っている。

 ということか。

 言わんとするところはワカルが、日本はコロナ前から超過死亡数が高い。

 日本のコロナ前の1年間の超過死亡数(下記の数値はNIIDのデータ)は、他国のコロナ後の2020年01月-2021年12月の2年間(数値は記事のグラフから)と同じくらい。そもそも死亡予想に難ありかもしれない(急速に日本人の寿命が縮んでいるとか)。

 2017年01月-12月:26,535人

 2018年01月-12月:20,156人

 2019年01月-12月:10,858人

 2020年01月-12月:8,083人 [コロナ1年目]

 2021年01月-12月:53,640人 [コロナ2年目]

 2022年01月-12月:118,169人 [コロナ3年目]

 確かにコロナ2年目以降超過死亡数が激増しているが、経済的困窮が大きな要因ではないかと私は思っている。医療費(特に保険適用外のもの)が支払えなければ持病が悪化する。

 厳しすぎる自粛によって職を失ったまたは廃業に追い込まれ生活が困窮したというならば、日本のコロナ対策に疑問を持つ記事の主張に合致するが、パンデミックで航空便は貨物スペースが足りず、船便はコンテナ不足で輸送費が高騰し、商品や材料が入らず赤字転落または廃業した事業者は多いだろう。これは日本が自粛するか否かは関係ない。

 そして為替。ドル円は2021年01月の103円から2022年10月の147円と急速な円安が進み物価高に。対応できなかった事業者も多いだろう。これも日本の自粛対策とは直接関係はない。

 更に2022年02月以降、ロシアのウクライナ侵攻によって、日本〜欧州間の飛行機は南回りとなり極度のコスト高から物価高が加速。(今後も含め)対応できない事業者は非常に多いだろう。これは特に日本の自粛対策とは関係ない。

 記事中の

福島県で被曝が原因で亡くなった人はいないから、死亡者の増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化が原因と言っていい。これこそが、福島第一原発事故の教訓だ。

はその通りだと思うんだが、「ストレスと生活習慣の変化」が超過死亡数の増加の原因だとするならば、、コロナ対策の行動制限がなかったとしても、この急激な経済環境の変化に耐えられず、同じ結果だったかもしれないと私は感じている。

 万病の源である歯周病を見ても、治療は保険適用でも予防は適用外であるように、予防にかけられる経済的余裕が健康寿命を左右することは周知の事実。

ということから、行動制限がなくなった今年2023年の超過死亡数を見ることで、新たな見解が生まれるんじゃないか。

 「さぁどうぞ皆さん自由ですよ」と言っても、コロナ前の2019年とは物価がまるで異なり、海外旅行も「もう無理」と言っている人が多く、経済力で娯楽(息抜き)の領域がある程度決まる。

 むしろ「コロナで〜」が通用しなくなり、自己責任化することで精神的な負担が増す可能性があるし、経済的困窮によってサプリメント代などが削られ栄養状態が悪化し、それが高齢者を病弱にするかもしれない。

 余裕がなければ治療にかける費用を抑えたり、予防にお金をかけられなくなるので、コロナに留まらず医療全般に対し経済的に脆弱になっていて、健康寿命が急速に縮むということも考えられる。

 と私は感じている。

2020年1月から2021年12月までの超過死亡を推定した論文を発表したことだ。この研究で、日本の超過死亡数は11万1000人と推定され、確認されたコロナによる死者1万8400人の6.0倍だった。

 NIIDのデータによると、その2年間の超過死亡数は61,723人とある。記事中のグラフでもそのくらいになっているが。念のため。