伊勢丹の上位顧客5%とは。フェルミ推定的な。

 数日前に引用した伊勢丹新宿本店の2021年度の買い上げ上位顧客5%による買い上げシェアは50.9%を文字通り受け止ると、最新2022年度の伊勢丹新宿本店の売上高は3,276億円なので、その半分の1,638億円が上位5%の顧客による消費ということになる。

 という話を、以前日本に住んだことのある外国人女性に話したところ、「日本ってそんなお金持ちいるの!?」が最初の反応だった。

 90年代までは日本人=お金持ちのイメージだったのが、この15年くらいで「貧しい」イメージに変わってしまった。

 確かにそうよねと。

 で、話しているうちに推定することになり、検索してみたところ新宿伊勢丹は来店者数は、東京ディズニーリゾートを上回る年間およそ3000万人」「伊勢丹新宿本店では年間で2,500万人、三越銀座店では2,100万人のお客様にお越しいただいていますとあり、中間をとって2,750万人だとすると、これは延べ人数なので、1人月に2回(年24回)の来店で計算すると114.583万人。※食品売場が平均来店回数を押し上げているはず。

 114.583万人の上位5%は57,292人。

 この5.7万人が売上の半分である1,638億円を消費していると考えると、1人285.9万円/年。

 実はそんなにスゴいことじゃない。

 可処分所得の1/5を新宿伊勢丹での買い物に注ぎ込んだとして、手取りが年1,429万円。税引き前の額面年収は約2,250万円。

 都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)住まいだと単身ならそこそこ自由度の高い生活ができ、子供は居ない+車や住宅ローンを抱えていない夫婦・カップルの合算所得なら贅沢しなければ順調な生活ができるんじゃないかという層。

 ただし「バーキン欲しい」とか言い出すと(笑)結構調整が必要な所得層。

 そこを最低ラインとして、それ以上の所得層が新宿伊勢丹の売上げの半分を担っていると考えると、割と手堅い。

 1人285.9万円というと、ちょうどプラチナステージが年間300万円以上なので、もしかするとプラチナステージ以上だけを相手していた方が経営効率が上がり、株主達も「おもしろい選択だ」ということになるかもしれない。

 ということからプラチナステージ以上にはMIアプリに自動的に丹青会のインビテーションが表示される根拠が見えてくるし、既にそのテストなのかなとも感じる。

 もしかすると将来的に月に1回開催、隔週開催、毎週開催という具合にVIP祭りが増えていくだろうか。

 銀座の松坂屋は、百貨店事業よりも土地貸しに転じた方が儲かるという「物言う株主」の判断で自社の銀座店をたたんで銀座シックス化した。

 人口減で働き手も減るので、いずれは生産性を高める大胆な一手が求められる。興味深い。

 新宿伊勢丹のエルメス顧客は年間1,000万円くらいは当たり前というノリじゃなかろうか。

 ロレックスも含めデパート外商員に全く力が無いということを裏返すと、デパート側は何もする必要がないということでもあるので、結局のところ、ハイブランドへの場所貸し業がいちばん効率が良いのかなと、まさしく今の時代を感じる。