「上智大卒、新人賞受賞作家なのに、あらゆる場面で「戦力外通告」、大人の発達障害のリアルを本人が綴る (1/9) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)」

 そういう人もいるのかということと、人を雇う側にいる人達は知って置いた方がいい内容。

 大手企業は入社試験でSPI、CAB、GABなどを用いるため(まるでスポーツのように(笑)時間に追われる)、“処理速度”で予めフィルタリングされると思うが、特に適性試験のない中小企業の場合は「面接時は問題なかった」ということが生じうる。後からクビは双方にとって時間的損失が大きいし、現場の負担にもなる。

知能テストは言語性知能テストと動作性知能テストに分類される。言語性知能とは、通常、「偏差値」と関係していて、意識的な学習の成果とされる。これは、いわば思考力の高さを測る物差しである。

 思考力ではなく記憶力。

 WAIS-IIIの言語性知能の検査項目は算数を除いて全く思考する必要がなく、知識(長期記憶)と作動記憶(ワーキングメモリー)のみ。暗記学習でいくらでも向上するもの。

 一方の動作性知能の8割は遺伝とされている。

私は言語性知能が114と、平均より高かった。ところが、動作性知能は平均をはるかに下回り、「境界例」である74。動作性知能のうちの「処理速度」に至っては66で、「軽度知的障害」のレベルであった。

 それでも上智大学を卒業でき小説で新人賞が獲れるという点が興味深い。日本の学力=暗記学習の成果ということでもある。

 組織とは「AさんBさんは5分でできるのに、Cさんは15分かかる」という相対値(すなわち偏差値)で評価・査定するのに対し、執筆のように他人と一緒に仕事(作業)をしなければ処理速度の比較対象がないから問題が生じないのだろう。

 そう考えると、適性検査の精度向上と普及が多くのことを解決するかもしれない。大人になってから判明すると方向転換に負担がかかるが、中高生くらいである程度自分の特性を知る機会があれば進路の狙いを定めやすくなるんじゃなかろうか。或いはいっそウェクスラーを導入するか。

 兄・姉がいたり、親が適性試験のある会社に勤めていたり、或いは進学校・進学塾に通っている生徒達はある程度早い段階でこういったテストに触れるのかもしれないが、自分の得手不得手を認識しないまま漠然と社会に出ると本人への衝撃も大きい。

 仕事とは9割9分処理速度=生産性が求められているので、“支援”とは自己啓発的なものよりも、事実と向き合い適性の理解・認識を促すことにあると私は思う。先送りすると後が大変だから。

 ちなみに記事中に出てくる「揚げ物と焼き物の区別がつかない」という人は多い。油で揚げる“串揚げ”屋に行ってもずっと「串焼き」と言い続ける人が一定数いる。

 フライとグリル。

 言語能力が高ければ理解できそうなので、これはまた別の問題かもしれない。

 未だにコロナウイルスを「菌」と言っている人もいるし。