理屈としては確かにそうだと思うが、仮に居住権をクリアして家賃滞納者の追い出しが合法と確定した場合でも、追い出しコストは精神的にも負担が大きい。だから結局は先行き不安の経済下では安定した職業の人にしか貸さなくなるという流れは同じなんじゃないか。
※職業リスクに応じた変動家賃設定が可能になればすぐにでも採用されるだろう。
オリコなどの保証会社も家賃滞納者の追い出しは請け負いたくないだろうし、大家も預かり仲介業者(いわゆる不動産屋)も居住者を強制的に追い出すのは手間的にも難しい。特に安い家賃の物件は追い出しコストが滞納家賃を上回る可能性がある。
もちろん何でも請け負う人達がいるので、隙間産業として金融取立屋よろしく「追い出し屋」ビジネスが誕生すると思うが、仲介大手は社会的イメージも重要なので採用しづらい。
すると法的には追い出し可であるにも関わらず、誰も有効に追い出させない状況下で保証会社からズルズルと家賃を保証され実は何も困らない大家及び仲介業者が一番得(楽)することになるので、大家と保証会社間の契約内容も次第に厳しくなっていく。
「2週間の滞納で保証打ち切り」とか。だから大家は自分でさっさと追い出して的な。
そしてCICやJICCなどの信用情報には滞納からいずれ“異動”に変わり、滞納者のクレジットカードなどが止まり、キャッシングやカードローンも使えなくなる。同様にローン扱いであるスマートフォンの分割購入もできなくなる。
滞納者は出ていく費用の工面もできないという状況になる上、保証会社の債権“異動”先である弁護士事務所らも、近々自己破産かなという人への督促業務を請け負いたいかというと多分違うだろうことから、落とし所(万能な受け入れ先)がナイ。
よって現状「法的に追い出すわけにはいかない」前提で、ある程度のリスクを社会全体で許容しようという(うやむやな)空気感があるのに対し、追い出しを合法化すれば、「追い出して良いのに追い出さないのは何でだ」ということになり、保証会社は大家に対し責任分解点を明確化しやすくなる。
すると大家はある程度の職業の人、或いは月給に対し現状よりも低い家賃の物件しか貸さなくなる。或いは敷金や更新料を上げたり、滞納率と滞納から追い出しまでにかかる平均日数を全体でカバーするために、予め全体賃料に上積みする(まともに支払ってる人達がみんなで負担する“富の再分配”=税金方式)などが考えられる。
確実な物価高要因。
ココの審査内容とは結局のところ支払い能力の査定であり、クレジットカードの発行や限度額の審査(与信管理)、銀行ローン審査と同じ審査レベルに落ち着くだろう。ますます大卒・上場企業勤務、大卒・公務員の価値(社会的信頼度)が上がる。
ということから、経過が異なるだけで結果は同じなのかなと私は思う。
「自己責任」がうまく消化できない日本人社会においては、裁判所「追い出しは違法」、庶民「ほらーっ住まいまで奪うのはあんまりだ」、大家・業者「じゃぁ誰が滞納分を負担するの?」という重要な部分にフタをし、なーなーのうやむやな状態の方が無難なこともある。
そのまま共倒れし社会全体が地盤沈下していくことも含め、それが日本文化だと受け入れ日本に住み続けるのもまた自己責任だが、その「自己責任」は生理的に受け付けない(笑)ので誰か何とかしてよというのが日本だと私は思っている。
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