この2週間ほど、せっせと前稿に書いた機密文書溶解サービスに出す書類を整理し箱詰めしている。
実際の主な作業は「整理」というより、クリップや金物バインダーをはずすし紙だけにして箱詰めする(要は燃やせるゴミの分別)という作業。結構めんどくさい(笑)。座り込んでやっていると肩と腰がこる。
10年経ったから全部処分するわけではなく、残すべき書類もあるので、仕分けしながら。
で、捨てない書類側の保管場所を眺めていたら、会社設立時の懐かしい書類が目に止まった。
私が最初に株式会社を設立した時は、最低資本金1,000万円と役員3名+監査役が必要だった。
※資本金300万円の「有限会社」という組織も存在した。
脱サラ起業組はこの最低資本金1,000万円を工面するのに金策で駆けずり回るという時代だったが(銀行は会社設立時の資本金を貸さない。“出資者”になってしまうから)、私は法人を設立した時点で既に年収が5,000万円あったので、資本金はサクッと全額自分で払い込み(すなわち株主は私1名)、+役員2名は親2人、監査役には当時の税理士に名前を連ねてもらい設立した。
更にそれ以前(1990年まで)は発起人7名が必要だった時代もある。
この「発起人」とはただ名前を連ねる7名でなく、7名の株主が必要だったとあり、これは後で必ず揉めただろうなと思う。本質的な創業者以外に6名の権利者がいるのだから。
その後、2006年から株式会社設立要件は役員1名でよくなり、なおかつ資本金も1円からで良くなった。
1円資本じゃコピー用紙も買えず何ができるのか不明だが(笑)。
もちろん会社設立時に登記費用(+司法書士報酬)などは別途かかるものの、やる気さえあれば誰でも「社長」を名乗れる時代なので、上場企業を除くと「会社社長」という肩書きに大したインパクトがなくなった。
それに伴い法人化せず個人事業のままという人も多い。沢山の人を雇う必要がなくなったというのも関係しているだろう。
現代において最も重要視されるのは最終的にいくら稼いでいるか。
この「いくら稼いでいるか」もくせ者で、「年収」「年商」をあやふやに喋る人が多い。
「年収」とは通常本人の個人所得を指し、「年商」は会社(*1)の売上高を指す。
(*1)個人事業主の場合、事業の売上高。
更にこのどちらもあてにならないところがある。
例えば年商10億円の会社でも、赤字で社長の役員報酬が払えないというケースもある。
だから年商が大きくても社長個人の年収が高いとは限らない。
また年収も今は(2005年以降)税務署による高額納税者の公示(いわゆる番付)がないので、言ったもん勝ち(笑)みたいなところがある。
もっと言うと「年収」は税引き前の額(すなわち「所得」)を言うのが普通だが、あたかも手取り(税引後)かのように臭わせる人もいる。最大税率となる所得(所得税+住民税=55%)ラインを超えると、税引前と後とでは金額に2倍ほどの開きがある。
で、最終的に求められる(金融機関等に信用される等)のは納税証明書という時代になるだろう(なりつつある)。サラリーマンではなく経営者・事業主の場合。
/*
昔は源泉徴収票とか発行する本人(社長)がいくらでも好きな数字のものを用意できるだろうといういい加減なところもあった。源泉徴収票は嘘がつけない(会社に発行してもらう)サラリーマン向け。
*/
支払った税額がわかれば、逆算して所得が確定されるから。かつ納税が済んでいれば、残りは完全に自分のもの(後日滞納等による差押えなどが生じないお金)。
私は最初から納税証明書派。嘘付いて(自分を大きく見せるために)必要以上に納税する人なんていないから、これが一番間違いなく嘘がない。合理的。2008年頃、センチュリオン成り立ての際にも3年分の納税証明を送り限度額が青天井になった記憶がある。
税務署が発行する納税証明書とは別に、区役所が発行する所得証明や課税証明というものもある。これではダメなのか。
所得証明や課税証明では申告所得が証明されるだけで、かかる税金を納めたことの証明にならないため(課税されたことと納税したことは違うから)、実は1億円の個人所得で申告していても、「未払い給与(報酬)」と化しているかもしれないし、所得税も住民税も支払われていない(滞納している)場合は、これから差し押さえられる(笑)という段階にあり、真に本人の使えるお金を証明するものとは言えない。
よってサラリーマンはわざわざ過大申告しないし所得税も住民税も給与天引きなので課税証明でも良いと思うが、経営者・事業主は今後より手堅い納税証明書を求められるようになるんじゃないかという見立て。
言い換えると、どれだけ納税したかなので、いずれ住宅・車・教育ローン等を組む可能性のある人は、その前年までの3年分立派な納税証明書がとれるよう、自らの所得を設定しておく必要がある。
税金がかからないよう、あれもこれも経費にしトントンにしておこうという考え方はすすめない。
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